承前*1
- 作者: 佐藤方宣
- 出版社/メーカー: ナカニシヤ出版
- 発売日: 2009/04/30
- メディア: 単行本
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「競争」の意義については、太子堂正称「競争と格差――何のために競うのか」(佐藤方宣編『ビジネス倫理の論じ方』*2pp.119-154)を参照されたい。
ここでは、アダム・スミス『道徳感情論』*3に依拠した井上義朗の議論*4を孫引き的にメモしておきたい。井上氏は「現代の経済理論で多く使用され排他的な語感をもつrivalryと対比しながら、競争のもつemulation(真似をすること)という要素の意義について強調している」(p.138)。「競争相手を蹴落とすことなく、互いの優れた部分を真似ながら、自己を高めていく」ことについて、井上氏曰く、
アダム・スミスの説くemulationとしての「競争」は「個人の卓越のみならず、他者との協調、さらには、他者への援助までも含んだもの」である(p.140)。
競争のメリットが、優れた競争相手を目指しての自己鍛錬にあるとすれば、競争相手にはいつも、いくらか自分より高めの位置にいてもらわなければならない。そうであってはじめて、それは自分の目指すべき目標になり、自己を高める契機にもなる。ゆえに競争相手がもし脱落しそうに陥ったら、相手を自分より高めの位置に押し上げるべく助力せよ、とスミスは説いている。(cited in pp.139-140)
The Theory of Moral Sentiments
- 作者: Adam Smith
- 出版社/メーカー: Cosimo Inc
- 発売日: 2007/03/30
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「競争」ということでは、ハンナ・アレントが公共空間における作法として説く「アゴーン」が思い浮かぶ。これについては、取り敢えずBonnie Honig Political Theory and the Displacement of PoliticsとDana R. Villa “Democratizing the Agon: Nietsche, Arendt, and the Agonistic Tendency in Recent Political Theory”(in Politics, Philosophy, Terror, pp.107-127)をマークしておく。
Political Theory and the Displacement of Politics (Contestations)
- 作者: Bonnie Honig
- 出版社/メーカー: Cornell Univ Pr
- 発売日: 1993/05/01
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Politics, Philosophy, Terror: Essays on the Thought of Hannah Arendt
- 作者: Dana Richard Villa
- 出版社/メーカー: Princeton University Press
- 発売日: 1999/09/19
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