「坂道」についてメモ

小池昌代詩集 (現代詩文庫)

小池昌代詩集 (現代詩文庫)

http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20091215/1260847016で、松浦寿輝『半島』から「坂道」についての一節を引用したが、小池昌代の「坂のある町」という詩;


坂のある町を歩くと
空がきゅうに
近くなったり 遠くなったりした



S坂の途中には竹林がある
こがらしのふく夕方に通りすぎるとき
つめたい水で ほそい骨を
洗っているような音がして
黒目がすこしずつ脱色されていく



そして、くだり坂
わたしのなかへも
坂と同じだけの傾斜が
ゆっくりかかり始めた
きのうついたうそをひとつぐらい
はくじょうするのによい角度
とこいびとに背中をおされる



ポケットには分度器を
わたしのものさし
にして
もち歩く
(『小池昌代詩集』(現代詩文庫174)思潮社、pp.22-23)

半島 (文春文庫)

半島 (文春文庫)

「坂道」といえば、アニメ版『時をかける少女*1で重要な役割を演じる、あの京成電車の踏切前の坂道。あれっていったい何処なのだろうかと思っていたのだが、よく考えてみれば、京成は市川真間から先はずっと日暮里まで高架で、それから上野に向けて地下に潜るのだった。
時をかける少女 通常版 [DVD]

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