厦門

承前*1

8月12日から14日。福建省厦門に遊ぶ。
宿泊したのは鼓浪嶼島。かつて公共租界だったこの島を一言で言えば、目が回るということか。くねくねして起伏のある道が縦横に走り、少し歩いただけで忽ち方向感覚が狂ってしまう。勿論、漁村というのは概ねそういうものなのかも知れないが。例えば、千葉県の外川とか*2。また、松浦寿輝の小説『半島』*3に出てくる「半島」の先に突き出た〈島〉に似ているのか知れぬ。この小説でも〈遠―近〉の感覚が狂うことはそれなりに重要な主題であった筈。但し、その島よりも狭い。気合を入れて歩けば40分足らずで島を一周できる。また、この島には消防車1台とゴミ収集車1台以外の自動車はない。この迷路的な感覚は実は、厦門本島でも変わらず。その西側つまり空港の近くはたしかにシンガポールの郊外のマイナー・ヴァージョンという感じではある。行きには鼓浪嶼島へのフェリーの渡し場まで空港からたらたらとバスで行ったのだが、帰りにタクシーに乗ったら、空港まで近道があると言われ、隧道で山を越えたらすぐに空港に着いてしまった。

半島 (文春文庫)

半島 (文春文庫)



46HOWTEL*4というホテルの庭。古い洋館をリノヴェートしてホテルとしたもの。所謂ブティック・ホテルという奴。

林語堂が新婚時代に住んだ家。19世紀半ばの建築。

「花時間CAFÉ」。オーナーの「AIR夫婦」*5は鼓浪嶼島のガイドブック『迷失。鼓浪嶼』(中国人民大学出版社、2006)の著者でもある。


鼓浪嶼島の反対側。

鼓浪嶼島から厦門本島を望む。

厦門本島の「思明南路」。「思明」とは「思念明朝」の略。鄭成功に因む。

石敢当」。厦門本島の「曽厝垵」という村。

曽氏の祀堂(「曽厝垵」)。そのままTemple Café*6というカフェになっている。厦門の面白いところは、メジャーな観光地でもないところにおしゃれなカフェがあるということか。あと、厦門のおしゃれなカフェは中山公園の近くにある「門虫」*7。「門虫」が何を意味するかは自ずと明らかであろう。