「徳育」のため?

一瞬、http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090805/1249478075と関係するのかと思ったのだが。
『読売』の記事;


絵本の読み聞かせ、親子で食事を…子供の徳育10の提言決定へ
文部科学省有識者懇談会

 「ネット上の有害情報から子どもを守れ」「幼児期に絵本の読み聞かせを」――。子どもの道徳教育(徳育)のあり方を考える文部科学省有識者懇談会(座長=鳥居泰彦日本私立学校振興・共済事業団理事長)が、家庭や学校での徳育に関する10の提言をまとめた。3日午後の懇談会で正式決定する。

 提言は、徳育について、「社会総がかり」で取り組むことが必要と強調し、乳幼児期から思春期まで成長段階に応じて取り組みが必要な内容を指摘した。

 乳幼児期については、絵本の読み聞かせのほか、親子で食事をする時間を持つことが大切との考えから、保護者が仕事と子育てなど家庭生活を両立させる「ワーク・ライフ・バランス」の大切さを挙げている。
(2009年9月3日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20090903-OYT8T00721.htm

「絵本の読み聞かせ」といっても、「徳育」のためかよ。以前に小堀桂一郎の言説*1に感じたのと同様のいかがわしさを感じてしまう。また、「読み聞かせ」るべき政治的・道徳的に正しい「絵本」を巡っての利権が渦巻いているのではないかと邪推してしまう。さらに、「早期教育」業界*2では、脅迫的なメッセージとともに、効率的・効果的な「読み聞かせ」のマニュアルと教材が開発され*3、相対的な「社会的孤立」に悩む強迫的に「几帳面で律儀」な親がまたカモになるのでは?
ところで、「絵本の読み聞かせ」それ自体は特定の階層の文化でしかないのでは? そもそも自分が子ども時代に親に読んでもらって面白いと思った絵本を、自分が親になったら子どもに読んでやる、そのような仕方で所謂名作絵本というのは伝承されてきたのでは?

さて、


ワタミ」会長の渡辺美樹氏、髪切りパワハラ? 理事長務める学校の元教師が提訴へ

 学校法人「郁文館夢学園」(東京都文京区)に教師として勤務していた男性(50)が、「上司からいわれのない中傷を受け解雇された」として、同校を相手取り地位保全と慰謝料300万円の支払いを求める訴訟を近く東京地裁に起こすことが13日、分かった。

 「―夢学園」は居酒屋チェーンを展開する「ワタミフードサービス」の渡辺美樹会長(49)が、理事長を務めている。

 訴えによるとこの男性は、2005年4月から09年3月まで同校で体育教師として勤務。学校の備品を購入した際、金銭管理の不備を一方的に責められ、解雇されたという。

 また男性は陳述書などで、渡辺理事長によるパワーハラスメントを指摘。08年10月24日、渡辺氏が同校で行われた職員会議後に、40代の男性教師の髪形が気に入らないとし、ハサミを持ってくるよう部下に命じ、教師の髪を切らせたとしている。渡辺氏自身も、ハサミを手に髪を切り「これは断髪式だ」と言ったという。

 渡辺氏らによるパワハラは、校内で日常的に行われていたとしている。

 この件について、複数の教師が当時の校長に事情説明を要求。校長は複数の学校関係者にメールを送り「断髪式」の事実を認めたという。メールでは「(断髪は理事長と教師の間で)合意がとれていたとはいえ、理事長に『話を知らない人から見れば、理事長の権威を示すような印象のよくない行為である』と意見できなかったことを悔やんでいます」などと説明している。

(2009年9月14日06時02分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090914-OHT1T00054.htm

という記事あり。渡辺美樹というのが碌でもねぇ野郎だというのはまあいいとして、この記事には不明なところが多々あり。「金銭管理の不備」というのは、この「体育教師」がいうように、「いわれのない」冤罪なのか、それとも彼にも多少の落ち度はあったけれども、常識的に見て、「解雇」には相当せず、始末書程度で済まされるべき問題だったのか。タイトルだけを読むと、この教師と髪を切られた教師は同一人物であるかのように思ってしまうではないか。また、「髪形」のbeforeとafterを図示してほしいよね。渡辺美樹の部下というのは、例えばよしもとばなな*4的な客の気紛れや我が儘はマニュアルを楯に厳しく撥ねつけるけど、「会長」たる渡辺美樹の気紛れには口答えせず、へいこらするということでしょうか。