「ドナドナ」

承前*1

「全国学力テスト」成績と世帯年収の関係について、『毎日』の報道;


<学力>年収多い世帯の子供ほど高い傾向…文科省委託研究

8月4日19時32分配信 毎日新聞
 年収200万円台の世帯と1200万円以上の世帯では、昨年の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の平均正答率(小6国語B、算数B)に約20ポイントの差があることが、文部科学省の委託調査で分かった。一方、年収にかかわらず、親が「ニュースや新聞記事について子供と話す」「家に本がたくさんある」などと回答した世帯の子供ほど学力が高い傾向もみられた。

 文科省の委託を受けた耳塚寛明・お茶の水女子大教授らの研究グループが、昨年12月〜今年2月に全国の5政令市の小学校100校を対象に保護者約5800人にアンケートし、昨年4月のテスト結果との関係を調べた。

 調査によると、基礎問題(A)と活用問題(B)のいずれも、年収が高い世帯の子供ほど正答率が高い傾向があった。最も差がついたのは算数Bで、200万円未満の世帯は42.6%、200万円台は45.7%に対し、1200万円以上1500万円未満は65.9%、1500万円以上も65.6%に達した。

 塾や習い事など学校外教育への支出額と学力にも相関があり、全く支出のない世帯は、月5万円以上支出する世帯と比較して正答率が23〜27ポイント低かった。

 また、親自身の普段の行動を尋ねたところ、高学力層では「クラシック音楽のコンサートに行く」「お菓子を手作りする」などの回答割合が高く、低学力層では「パチンコ・競馬・競輪に行く」「カラオケに行く」などの回答割合が高かった。

 耳塚教授は「家計だけが学力を決めるわけではないが、影響力は相当大きい」と分析する。【加藤隆寛】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090804-00000072-mai-soci

『毎日』では、「塾や習い事など学校外教育への支出額」のことが言及されている。
耳塚先生の調査は、子どもが学校文化に適応するための資源としての親(家庭)の経済資本や文化資本ということにフォーカスしているといえる。しかし、親の経済資本や文化資本は子どもが学校文化を相対化し・そこから逃れることをサポートする資源という側面もあるのだ。例えば、「つくる会」の教科書が地元の中学で採用されたとしても、そんなのは、もっとましな本を親が子どもに与えればいいということになる。しかし、親に本の良し悪しを決するセンスがなかったりとか、家計が苦しくて子どもに本を与えるのが難しいという場合は? 後者の場合、子どもが勉強好きで成績も良ければ、なおさら学校文化=「つくる会」文化に嵌ってしまうのでは?
漫画家の牧村しのぶさんは書いている;

私は6畳1間育ちで、子供部屋も書斎もなかった自分の経験から思うのですが、

経済的に裕福な家庭で、親の蔵書が書斎にあり、子供が本を持ち出して

自由に読める環境なら、そこで学校で学べない知識を仕込むことができます

事実裕福な家庭の子供は知識があり、塾に通い稽古事もし、

本がほしいと言えば買ってもらっていました

本好きの子供は話が面白く、私は貧乏でも金持ちの子供と仲が良かったのです

家庭の外では友人や司書から親の好みと傾向の違う本を

借りて読むこともできます

親を選ぶことはできませんが、親が裕福なら親離れする機会にも恵まれます

今は幼少期から受験する子供が増え、貧乏人と金持ちがつきあえる機会も減っています


家庭に書斎も書物もないような環境では、学校で与えられる教科書は

貴重な知識の源であり、学校で教えられたことが自然だ、という感覚になります
(後略)
http://d.hatena.ne.jp/pinsuke/20090804/1249369795