大江健三郎の小説のタイトルではない。
http://blog.zaq.ne.jp/spisin/article/932/
「ビーチバレー」への〈フェミニスト的〉(だと本人は思っているらしい)小言。しかし、論の根拠とされているのは全て本人の憶測にすぎない。これを読んで、「東京都杉並区教育委員会の教育委員」を思い出した*1。『朝日』の記事に曰く、
マッチョな男権主義者も(思考の構造が単純な)〈フェミニスト〉も、ファッション、特に女性のファッションに、反射的にセクシュアルな意味を読み取ってしまい、意味をそこに還元してしまうという心性を共有しているとは言えそうだ。勿論、ファッションがセクシュアルな意味を含みうることはたしかであり、そのような仕掛けとして用いられることも屡々ある。しかし、そのようなことが全く意識されていないということも少なからずある。理論的にいえば、ファッションはセクシュアルな意味を(誰かによって)読み取られることによってのみ、セクシュアルなサインとして機能するといえる。痴漢やセクハラなどのトラブルはそのような意味解釈のずれによって惹き起こされうるのだが、その場合の責任がそのように解釈した側にあるということはいうまでもない。2つのタイプの言説に戻れば、これらの罪悪は、先ず意味解釈を勝手に切り縮めて、それ以外の解釈が生起することを、さらには〈衣〉を通じての表現の可能性を扼殺してしまうということにありそうだ*2。
痴漢事件聞き「女性の服の乱れ指導を」 杉並教委で発言2009年5月28日8時26分
東京都杉並区教育委員会の教育委員(76)が今月13日の定例会議の席で、痴漢容疑で逮捕された教諭について報告を受け、「最近の女性の服装の乱れは度を超しており指導が必要」という趣旨の発言をしていたことが分かった。傍聴者には「痴漢擁護」と受け止めた人もいた。区教委は「発言は、報告と直接関係ない」との見解だが、誤解を招いたことを認めている。発言があったのは、13日の区教育委員会定例会議。区立中男性教諭が先月、電車内で中3の女子生徒に痴漢をした容疑で現行犯逮捕されたことが報告された直後だった。
区教委庶務課によると、委員は、報告案件とは別の話と前置きしたうえで、「最近電車に乗っていると、女性の度を超えた服装の乱れが見受けられ、指導が必要」という趣旨の発言をした。区教委は「被害女性と直接関係があると言ったわけではなく、『児童・生徒に乱れがないようにしよう』という発言と受け止めている」との見解だ。
しかし、やりとりを傍聴していた女性は「男性を挑発する女性の方にも原因があると言わんばかりだった。公式の場で雑談のような話をするのは不適切で、委員としての資質を欠く」と憤る。
発言は、18日の区議会文教委員会でも取り上げられ、山田宏区長の任命責任を問う声も上がった。
委員は、発言の事実について「コメントは控えさせてほしい」と話しているが、区教委によれば26日の教育委員会では「誤解を招いたとすれば不徳の致すところ」という趣旨の発言をした。
同区の教育行政の基本計画を決めている区教育委員会の委員は5人。任期は4年。委員は00年12月に就任し3期目。(永沼仁)
http://www.asahi.com/national/update/0528/TKY200905280014.html
See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20060510/1147224235
ところで、最近山口創『愛撫・人の心に触れる力』を捲っていたら、公衆の面前での性的な接触(接吻や抱擁)への社会的規制の緩和と、身体的接触の性的な意味以外の意味が剥奪されるのは同時に進行したというようなことが書かれていた。
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*1:See also http://blog.goo.ne.jp/flagburner/e/fd9d1e53b1758d73be6d1a9def06a12c
*2:作家/ミュージシャンの劉索拉も自著の『口紅集』にふれて、そういうことを言っていたのではないか。See石剣峰「劉索拉:写作不能満足我的虚栄心」(『東方早報』2009年5月8日) See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090511/1242021167 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20090512/1242093151