『おめでとう』

おめでとう (新潮文庫)

おめでとう (新潮文庫)

荷物を片付けていたら、川上弘美『おめでとう』という本が出てきた。この本を買った記憶はない。妻が買ったのかと思ったが、妻も自分が買ったのかどうかたしかな記憶はないという。ぺらい本ではあるし、取り敢えず一気に読んでしまった。


いまだ覚めず
どうにもこうにも
春の虫
夜の子供
天上大風
冬一日
ぽたん

冷たいのがすき
ばか
運命の恋人
おめでとう


解説(池田澄子

ここに収められているのは、30〜40代女性(昨今の流行り言葉でいえばアラフォー)の恋愛話、それも「非公式恋愛」(「冷たいのがすき」、p.161)の話。川上弘美の小説を読むのはかなり久しぶりなのだが、日常性に定位した彼女の語り口はやはり巧みだと思った。ここでは、「天上大風」における「別れてくれ」という発話を巡る言語行為論的考察(pp.99-104)をマークしておく。