〈ポップ・チャート〉の人

承前*1

速水健朗小室哲哉の名言「今年はレイヴが来る」を振り返る」http://d.hatena.ne.jp/gotanda6/20081109/tk


小室哲哉TRFのメンバーとの対談*2の引用から、小室哲哉にはあまりダンス・ミュージックの知識がなかったことが示されている。というか、小室という人はやはり〈ダンス・チャート〉の人ではなく、〈ポップ・チャート〉の人だったということでしょ? また、1990年代の中頃に量産したヒット曲もやはり〈ポップ・チャート〉を狙ったものだろう。重要なのは、〈ジュリアナ〉が閉まった後で、ディスコからクラブへということが既に言われていた時代に、あれらの曲どもが(一般大衆向けである)〈ポップ・チャート〉を席巻したということであろう。それは何故?
ダンス・ミュージックの知識に関して小室哲哉を論うことはできないので、それはスルーするとして、そこで言及されている「アース・ウィンド・アンド・ファイヤー」とか「スタイリスティックス」という名前を見ると、こいつら俺と同世代かと改めて恥ずかしい気持ちになってしまう。Do the hustle! どうせなら、ドナ・サマーの名前も挙げてほしかったとか。
さて、「海外の新旧ダンスミュージック(というかブラックミュージック全般か)の知識とは無縁のところで鎖国的な知識環境で音楽を作り続け、しかも世間に届きまくったところが、小室の才能だったんだよ」という。たしかにJポップは「鎖国的」であるが、それは烏賀陽弘道氏も指摘しているように、日本国が1億人以上の人口を抱えているということと無縁ではないだろう(『Jポップとは何か』第5章「日本という音楽市場のかたち」)。そこそこのリテラシーと購買力を持った1億人以上の市場。それが危機かどうかというのは多分最近水村美苗を巡って盛り上がっているらしい話題*3とも関係ありそうだ。

Jポップとは何か―巨大化する音楽産業 (岩波新書)

Jポップとは何か―巨大化する音楽産業 (岩波新書)

さて、少し前に、所謂文化的商品の市場について、


スーパー・メジャー(グローバル)
メジャー(ナショナル)
マイナー(ローカル=グローバル)


というふうに分類できるのかなと思いついたことを思い出した。上でいう(小室哲哉も含めた)Jポップはメジャー/ナショナルに属する。また、大方のオタク文化も。