『産経』の記事;
私の関心としては、ユタによる儀礼の詳細も書いてほしいとは思う。また、「おはらい」というと、ヤマトンチューの私は、どうも神主が御幣*1を振って祝詞を上げるというのを想像してしまう。「酒と塩」というのは神道とも共通しているようには思うが。ほんとうに現地でも「おはらい」と言っているのか。それとも、記事を書いた記者がヤマトンチューの読者にもわかりやすいように「おはらい」という言葉を使ったのか。そして、この言い方は民俗学的・宗教学的に妥当なものなのかどうか。それが問題だろう。
霊能者ユタのおはらいで体調不調? 沖縄の中学生5人が病院へ
2008.10.22 19:19
沖縄県の宜野湾市立真志喜中学校で、民間の霊能者として知られるユタの女性を招いておはらいを行った際、女子生徒5人が体調不良を訴え病院へ運ばれていたことが22日、分かった。
同校によると、数年前から吹奏楽部で「練習中に気分が悪くなる」「霊が見える」などと話す生徒がおり、一部の保護者からの提案でおはらいをした。
部活終了後の21日午後7時すぎ、音楽室や廊下に生徒約60人と7、8人の父母、顧問の教諭が集まり、ユタが酒と塩をささげておはらいを開始。20〜30分ほどして、女子生徒約20人が「気分が悪い」「息苦しい」と訴え、うち5人が過呼吸状態になり病院に運ばれた。全員、その日のうちに回復し帰宅したという。
同校では5月にも、けが人が多かった女子ソフトボール部でユタを呼んだところ、効果があったとうわさになっていた。
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/081022/trd0810221919005-n1.htm
「過呼吸状態」は脳内の呼吸中枢が過剰に活性化されることだが、その原因については、体調や体質やパーソナリティとの絡みもあり、とにかく脳内の呼吸中枢が過剰に活性化されるということで、何故過剰に活性化されるのかということはよくわからない*2。ただ、血液中の酸素濃度や二酸化炭素濃度を調べれば、日射病などとの区別は直ぐにつくらしいので、情動の変化があったとはいえるのだろう。ユタによる儀礼は情動を刺戟するものだったのかどうか。但し、最初の過呼吸状態を認知することによって不安が喚起され、その不安がさらに過呼吸状態を呼び起こすということもあるらしい。また、過呼吸は頻繁に経験して慣れてくると、自分で発作をコントロールできるようになるという。これは、トランス状態の統御という(ユタを含む)シャーマニズム*3の技術と関係あるのかなと思った。