『達磨流浪者』出版

石剣峰「期待一場偉大的背包革命」『東方早報』2008年7月30日


ジャック・ケルアックの小説Dharma Bumsの中国語簡体字版が正式に上海訳文出版社から出版される。実は2003年に(北京で「Sub Jam工作室」を主宰する)顔峻という人が、既に台湾で出ていた訳本を改訳したものを、関係者へのギフトというかたちで200部印刷したが、そのコピーやさらにその海賊版がロック文化圏を中心に流通し、最近の「淘宝網」のネット・オークションでは、この「Sub Jam」版に1冊1万元の値が付けられている。この『達磨流浪者』は既に「中国地下文化的一部分」となっている。
Dharma Bumsは『路上』*1の続編で、その主人公級の登場人物Japhy Ryderはゲーリー・スナイダーがモデルであるといわれる。昔、スナイダーの『地球の家を保つには』という本を読んだときに、訳者の解説で邦訳があることを知ったのだが、そのときには既にかなり入手困難な本であった。

路上 (河出文庫 505A)

路上 (河出文庫 505A)

ところで、上の記事では、Dharma Bumsが「寒山子」に捧げられていることが強調されている。現代中国サブカルチャーによる米国ビート文学の発見と伝統文化への回帰は連動しているのか。因みに、ゲーリー・スナイダーは『寒山詩』の英訳者でもある*2
寒山詩 (岩波文庫 赤 11-1)

寒山詩 (岩波文庫 赤 11-1)

また、「ジャック・ケルアックとビート」と題する室矢憲治氏へのインタヴューあり*3