江戸時代の落書き

承前*1

京都新聞』の記事;


「今後一切落書きしません」
近江八幡 江戸期の反省文発見


 西国三十三所の第31番、古刹(こさつ)・長命寺滋賀県近江八幡市)で、江戸後期の寺に落書きをした巡礼者が記した反省文が見つかり、23日、県教委が新たに県指定文化財に指定した。国内外の名所や文化財に日本人が落書きをして社会問題化しているが、江戸期でも観光寺院が同じ悩みを抱え、対策に腐心していた様子がうかがえる。

 見つかったのは、「楽書誤証文(らくがきあやまりしょうもん)」で、1799(寛政11)−1802(享和2)年の6通で、いずれも縦23・7−28・7センチ、横32・9−39・2センチ。

 県教委によると、文書には、巡礼者が「御法度」の落書きを書き始め、見つけた僧侶にしかられ、「恐れ入り」「今後道中では一切落書きしません」と同行者と連名で誓ったことが署名、拇(ぼ)印付きで記される。

 6通は文面はほぼ同じで、「落書きに困った寺側がひな型を作っていた」(県教委)とみられる。

 書き手の住所は、長崎や埼玉、三重など多岐にわたる。当時の民衆には旅行がブームで、行動範囲の広さもうかがえる。

 県教委は「『楽書』という字に、落書きに対する当時の庶民の気分が分かる。連帯責任で証文を書かせるのは一見厳しいが、証拠能力はなく、モラル回復の思いが強かったのではないか。不心得者に罰を科し、良心に訴える寺の大人の知恵が見える」としている。
 「楽書誤証文」は、長命寺文書(5475点)として一括指定された。
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008072400045

そういえば、〈千社札〉が迷惑かどうかという論争が少し以前にあったような。たしか。