「超インフレ」?

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今時「超インフレ」を懸念している珍しい人もいるものだと思った。現在の日本で「超インフレ」、例えば敗戦直後の日本のように物資が極度に不足し、人々は闇市に足を運び、或いは満員電車に乗って田舎へ食糧を買い出しに行くという状況が今日明日にでも出来する可能性があるのだろうか。たしかに、現在原油価格が上昇しているということはある。しかし、こうしたコスト・プッシュなインフレに金融引き締めという処方箋が通用するのかどうかはわからない。ただ、それがさらなる失業率の増大、所得の下降、貧富の格差の拡大という効果を産出することは明らかだろう。勿論、反体制運動を抑え込むために、敢えて不況志向的な政策を選択するということもありうるのだが*1
この問題に関しては、


まず第一に、民主党は、日銀が少なくとも2000年8月以降、政府の意向から完全に独立しているかのように振舞ってきていることを理解していない。

2000年8月のゼロ金利政策解除、2006年3月の量的緩和政策の解除、そして同7月の再度のゼロ金利解除という、3つの重要な(そして誤った)政策変更決定のすべてにおいて、政府が事前に懸念を表明していたにも関わらず、日銀はその独立性を盾に政策変更を断行したのは周知の事実だ。

つまり、少なくともこの期間の金融政策決定において、日銀の独立性は十分に保たれていたと考えるべきだ。したがって民主党の主張する、「この国の大きな問題」の解決に「財金分離=中央銀行の独立性の尊重」が資する、という主張には全く根拠がない。


第二に、民主党は、中央銀行の独立性が何故重要であるかを全く理解していない。中央銀行の政府からの独立性が担保されていない状況で問題になるのは、過度のインフレーションだからだ。

民主主義国家の政府はインフレを好む傾向にある。適度なインフレは雇用に良い影響を与え、また財政負担も減らす。そして政府は往々にしてやり過ぎる傾向にある。インフレについて明確な責任を負っていないため、通貨発行を政府に任せると過度のインフレを招いてしまう可能性がある。中央銀行の政府からの独立が必要である所以である。

しかしながら現在の日本は10年目を迎えるデフレの状況にあり、したがって中央銀行の独立性が問題となる状況にないことは明らかだ。この状況において今以上の「財金分離=中央銀行の独立性の尊重」を主張することは、根拠がないだけでなく、明白に誤りだ。
http://d.hatena.ne.jp/svnseeds/20080311#p1

という解説が明快だろうと思う。