範勃『疏離』

土曜日は紹興路の「望東藝集」*1で、範勃『疏離』のオープニング。
1966年天津生まれの範勃は現在広州美術学院教授。今回展示された作品の多くは人物画である。顔の筋肉や服の皺に至るまで、その写実性は徹底しているという。描き込まれた人物たちは、細い樹の前に立っており、その背景は茫漠たる空白。このコントラスト、徹底的に写実的であると同時に徹底的に抽象的であるということが面白いのかも知れない。人物たちは名もなく(名も与えられておらず)、中国の何処にでもいそうな男女である。にも拘わらず、徹底的な写実性はその人たちを人間一般とか現代中国人といった一般的な範疇に閉じこめることを観る者に許さない。ただ、この感覚、例えば舟越桂の木彫を観た時の感覚を思い出させたということはある。
この展覧会には全123頁の豪華なカタログ(無料)あり。また、範勃の過去の作品はhttp://www.gg-art.com/artist/artist.php?id=2370で観ることができる。
暫く前に、内田樹氏が「磯江毅さんの展覧会に行く」というテクスト*2で、写実画と抽象画について考察していた。これにコメントを試みようと思ったが、暇がなく、放置していた。また、この磯江毅という方の作品は観たことがない。