中国国歌

Reuterの記事;


CMに国歌を使われたと中国がロシアに苦情
1月16日 19時00分
【北京 11日 ロイター】
 モスクワで放送されていたガムのテレビコマーシャルで、BGMに中国の国歌が使われていたことから、中国大使館が広告会社に対して、このCMの放送を中止するよう求めた。

 人民日報が報じたところによると、中国国歌の『義勇軍行進曲』をBGMに使っていたのは、リグレイ社のチューイング・ガムのCMで、同紙は国歌が使用されたことについて、「中国の尊厳が損なわれた」としている。

 CMを制作したのは、オムニコム・グループ傘下の広告会社BBDOモスクワ支社。同社のイゴール・キルクチ代表は、中国大使館からの苦情を受けてすぐに、CMの放送を中止したと発表している。

 イゴール氏はさらにコメントを発表し、「大きな誤解があった」と述べた。「我が社は、さまざまな楽曲を所有するイギリスの会社から、商業利用目的でこの曲の使用権利を買い取りました。曲名だけでは、これが中国国歌だと判断することはできませんでした」
http://news.ameba.jp/2007/01/2730.php

広告会社のコメントにある「我が社は、さまざまな楽曲を所有するイギリスの会社から、商業利用目的でこの曲の使用権利を買い取りました」というのは、この曲が中華人民共和国「国歌」となる以前、或いは人民共和国建国以前には、抑も映画の主題歌であり、流行歌であったことと関係があるのかも知れない。
「義勇隊行進曲」は中国語のタイトルとしては「義勇隊進行曲」。ところで、歌詞の中に「新しき長城を築け」という一節がある。今では「長城」は中国のナショナル・アイコンとして中国内外を問わず自明なものになっている。「長城」というワインのブランドもあるし、映像作品で「長城」の映像が出てくれば、そこから先は中国が舞台だということを表示していることになる。しかし、中国それ自体を表す記号として「長城」が使われたものとしては、この「義勇隊進行曲」以前に例を知らない*1。それどころか、古典的な作品において「長城」がテーマになっているのもあまりないようだ。
話をさらにずらすと、パンダ(大熊猫*2)も「長城」とともに中国のナショナル・アイコンであるが*3、これも何時頃からそうなのだろうか。「長城」よりも新しそうだ。日中国交回復を記念して上野動物園にパンダが来たように、中国政府は外交上のソフト・パワーとしてパンダを使っているが*4、それ以前にパンダ−中国という連合があったので、中国政府が外交戦術に使ったのか、それとも中国の外交戦術によって中国−パンダという連合が構成されていったのか。

*1:フランツ・カフカの短編があるけれど、それは「長城」によって中国それ自体を意味させているのではないだろう。しかし、カフカがネタとして「長城」を使っているということは、それ以前に「長城」のイマージュが西洋に流布していたということになる。ところで、日本において「長城」のイマージュがどのように流布していたのかは知らない。何れにしても、識者の御教示を俟ちたい。

*2:台湾では反対に猫熊と呼ぶらしい。

*3:濠太剌利でいえば袋熊に対応するか。

*4:かなり昔だが、日本の右翼(大日本愛国党だったか)のステッカーに、「中共はパンダ100匹タダでよこせ」という文言があった。