今年の上海蟹

 鄒娟、方伊江「陽澄湖大閘蟹9月中下旬上市」『東方早報』2006年8月25日


「陽澄湖」の「大閘蟹」すなわち日本語でいうところの上海蟹の、銅川路の水産市場への入荷は9月の中旬から下旬になりそう。
因みに、上海蟹といっても「陽澄湖」は蘇州市にあるので、蘇州蟹というべきかと思うのだが、これは千葉県にあっても東京ディズニーランド、埼玉県にあっても東京国際大学というようなものか。一応は陽澄湖のものがオーセンティックなものとされているが、実際に出回っているものの多くはそうではない。記事によれば、毎年いちばん最初に市場に入荷するのは、南京の高淳湖のものである。これは8月下旬。また、今年は山東省の微山湖が大々的に売り込みをかけている。また、安徽省も「無公害的大閘蟹」を謳って市場参入を宣言している。こうなると、ますます「上海」からは離れていきそう。
因みに、上海蟹の穴場はもしかしたら英国かもしれない。英国では大閘蟹が増えすぎて、生態系を乱すものとして、駆除が真剣に検討されているからである。
その陽澄湖であるが、林佳佳「往陽澄湖排汚最高可罰10万元」(『東方早報』2006年8月25日)という記事によれば、現在水質汚染が問題になっており、蘇州市環境保護局は、陽澄湖に汚水を流した者に対する罰金をこれまでの最高3万元から10万元に引き上げるという。汚水源は主に周辺の工場と蟹の養殖業者。また、高速道路建設のためにクリークが幾つか埋め立てられて、そのため湖に流れ込む水量が減少し、湖の自浄能力が低下しているという。さらに、蟹の「高密度養殖」も「剰余餌料」を湖に撒き散らすことによって、水質の富栄養化が招かれているという。