ダブル・バインド

http://d.hatena.ne.jp/kmizusawa/20060422/p1で知る。
『朝日』の記事2つ;


横田さん写真展に脅迫文 札幌の百貨店が会場提供辞退
2006年04月20日21時42分

 北朝鮮に拉致される前の横田めぐみさんを撮った父・滋さんの写真を展示する「めぐみちゃんと家族のメッセージ 横田滋写真展」(主催・あさがおの会、共催・朝日新聞社)で、札幌展の会場予定だった丸井今井札幌本店(札幌市中央区)に20日、開催の中止を要求する脅迫文が届いた。丸井今井側は札幌中央署に届け出たうえで、朝日新聞社に会場提供の辞退を申し入れた。

 脅迫文は、開催すれば客や取引先に危害を加えるという内容だった。

 札幌展は全国6カ所目の会場として26日から開かれる予定だった。あさがおの会朝日新聞社は別の会場で開催する方向で検討している。

 あさがおの会は「心ない人の行為によって開催が妨げられたのは非常に残念ですが、安全を最優先にして引き続き会場を探し、写真展を続けたいと思っております」とのコメントを出した。

 横田夫妻は「安全を考えての会の判断は正しかったと思います。多くの方々に支持していただいている写真展ですので、これからもぜひ続けてほしい」と話している。

 朝日新聞北海道支社は「まことに残念です。予定通り札幌市で開催できるよう、あさがおの会とともに代替の会場を探していきます」とのコメントを発表した。
http://www.asahi.com/national/update/0420/TKY200604200325.html


丸井今井札幌本店を脅迫、写真展見送りに腹立て
2006年04月21日23時39分

 札幌中央署は21日、横田めぐみさんの写真などを展示する「横田滋写真展」の開催を見送った丸井今井札幌本店に電話をかけて職員を脅したとして、札幌市北区の無職中辻和男容疑者(57)を脅迫容疑で逮捕した。

 調べでは、中辻容疑者は同デパートでの写真展がなくなったことに腹を立て、同日正午ごろ、電話に応対した職員に「爆弾をしかけてやる」などと脅迫した疑い。その際に自分の名前と住所も明かしたという。「テレビ報道で中止を知って腹が立った」などと話しているという。
http://www.asahi.com/national/update/0421/TKY200604210338.html

丸井今井札幌本店」としては、ダブル・バインド状態に追い込まれたということになるのか。数年前に、脅迫電話1本で、学校の文化祭やら運動会やらを中止させるというのがあったが、事件の性質としてはそれと同じか。但し、下の方の57歳のおじさんは「自分の名前と住所も明かした」ということだ。問題の「爆弾をしかけてやる」は、いきなりなのか、それとも口論の末に売り言葉に買い言葉として出たものなのかは不明。
また、

めぐみさんの舞台上演の市民劇団に、脅迫電話やメール
2006年04月21日11時41分

 拉致被害者横田めぐみさん(不明当時13)の拉致事件を題材にした舞台を5月3〜7日に横浜市で上演する市民劇団「てんびん座」(神奈川県鎌倉市、森木エリ子代表)に対し、上演をやめるよう脅迫する電話やメールが届いていることがわかった。劇団は公演を予定通り行う意向で、21日午後、神奈川県警に事情を説明し期間中の警備態勢について相談した。

 劇団によると、16日ごろから「(日本と北朝鮮との)戦争を助長するつもりか」「何があっても知らないぞ」などという不審な電話やメールが20件以上寄せられたという。いずれも男の声だったという。

 出演する小学生の保護者らが不安がっているといい、森木代表は「来場してくれる人を安心させるためにも、警察に相談した方がいいと判断した」と話している。
http://www.asahi.com/national/update/0421/TKY200604210181.html

という記事も。
こういう電話とかをする人がどういう人なのかはわからないが、右にせよ左にせよ、具体的な集団として組織されている人ではないような気はする。
ここに取り上げた言動というのは「批判」とはいえない。批判ではなく「脅迫」が蔓延っているとしたら、それは何か言おうとしたり、何かやろうとしたりする人を萎縮させてしまい、社会における自由度はさらに低下することになる。逆に、あらゆる批判的言動が「脅迫」だとレイベリングされてしまう、そういう空気が構成されてしまうという可能性もある。実際、批判と脅迫の境界というのは微妙なわけであるし。ただ、そのようにして「批判」が抑圧されるとき、(匿名的で)陰湿な「脅迫」がさらに蔓延ることは想像しやすい。