レヴィ=ストロースが100歳

承前*1

取り敢えず、


AFP “Levi-Strauss honoured” http://www.iol.co.za/index.php?from=rss_World&set_id=1&click_id=3&art_id=vn20081128054219931C783353
Steven Erlanger “Lévi-Strauss, a French icon, turns 100” http://www.iht.com/bin/printfriendly.php?id=18238016


の2つをマークしておく。
くだらない話をすれば、かなり以前に某知人にレヴィ=ストロースの長寿の秘訣は何なんだろうねと訊いたら、彼曰く、レヴィ=ストロースは若い頃アマゾンのフィールドワークでその秘法を見つけ、それは『悲しき熱帯』の中にアナグラムのかたちで仕込まれていると言ったのだ。お試しあれ。

悲しき熱帯〈1〉 (中公クラシックス)

悲しき熱帯〈1〉 (中公クラシックス)

悲しき熱帯〈2〉 (中公クラシックス)

悲しき熱帯〈2〉 (中公クラシックス)

ところで、『思想』の12月号はレヴィ=ストロース特集であるそうな*2。11月25日発売。私が日本を離れた日じゃないか。その日は書店に立ち寄るということもしたのだが、成田空港の本屋*3に『思想』が置いてある筈もなく。
また、小田亮氏がテクストをウェブで公開している;


「共同体と代替不可能性について」http://www2.ttcn.ne.jp/~oda.makoto/page040.html

左翼ではさらさらなく

承前*1

http://d.hatena.ne.jp/FUKAMACHI/20081123


深町さんはあれは右翼じゃないと言っているが、左翼では尚更ないなと思った。日本の左翼の暴力というのは基本的には〈人〉ではなく〈物〉に対する暴力で、対人的な暴力が殺害という仕方で発動されるのは〈内ゲバ〉の場合にほぼ限られるといっていいだろう。だから、左翼だったら寧ろ自動車を燃やしたりする方を好む筈だ。また、官僚というのは(政治家と違って)どんなに高官であっても無名の人に止まることが多いので、テロの目的である宣伝効果が大きいともいえない。だから、もしやるとしても、正当化のためにも機関紙とかでそのターゲットが如何に極悪非道な反革命分子なのかが綿々と書き綴られるだろう。しかし、〈人〉に対するテロは基本的には日本の左翼の習慣ではない。
さて、ローリー・アンダーソンじゃなくてベネディクト・アンダーソンは、19世紀のテロリストについて、言っている;


アナーキストの「テロリズム」についての最も重要な特徴は、「行為による宣伝」というスローガンからもうかがうことができます。それを実行する者、すなわち暗殺者は、隠れたり、逃げたりすることがめったにありませんでした。そのためほとんど全員が、あっというまに逮捕され、裁判にかけられ、そして処刑されました。かれらはある意味、最初の「自爆テロリスト」と呼びうるのではないかと思います。かれらは、勇気と威厳をもって、自らをコントロールしました。アナーキストではない多くの人たちですら、かれらの勇気と自己犠牲には、敬意を表さずにはいられなかったのです。(「アジアの初期ナショナリズムのグローバルな基盤」in 梅森直之編『ベネディクト・アンダーソン グローバリゼーションを語る』、p.95)
安易な〈テロテロ〉言説は〈歴史〉に対しても失礼な振る舞いであろう。
ベネディクト・アンダーソン グローバリゼーションを語る (光文社新書)

ベネディクト・アンダーソン グローバリゼーションを語る (光文社新書)

国家機密漏洩罪

承前*1

田岡俊次「英訳もされた田母神「論文」は自衛隊の弱点露呈した「機密漏洩」だ」『AERA』2008年12月1日号、pp.84-85


曰く、


(前略)なんでもコミンテルンの陰謀と信じる教養水準、情念に合う根拠薄弱な情報をつないで考え、不利なものは無視する判断力だ。戦時には敵が流す偽情報や、誤った報告が乱れ飛ぶ。これでは簡単に偽情報に引っ掛かる、と読める。これが日本空軍のトップなら他の将校の知性も推して知るべし、と[「諸外国の情報部の分析官たちは」]笑っているかもしれない。自衛隊の最大の弱点を露呈した点で、重大な機密漏洩事件と言えよう。(p.85)
ところで、全く関係なく、同じ号に載っている野田秀樹の「カメラとガイドブックと高校演劇コンクールが嫌いだ」;

たとえば旅行に行って、ものすごいきれいな景色を見たとするじゃない。目に焼きつけようと思って一生懸命見ていると、
「あ、写真撮るから、ちょ、ちょ、ちょっとそこ立って」
とか勝手に言う奴いるじゃない。
いや、今、俺見てるんすけどって、旅のリズムが狂うんだよね。
カメラが嫌い、写真なんて、プロにまかせりゃいいでしょ。あのカメラばっか撮ってるカメラ馬鹿と旅すると、こっちまで調子が狂っちゃう*2。(p.88)