隠された起源

ブラタモリの「大阪〜大阪はなぜ日本一の商都に?〜」*1。2016年にオンエアされたものの再放送。ここで先ず中心的に取り上げられるのは、大阪城をその北端とする上町台地上町台地の映像を見てしまうと、余所者(特に東京人)にとっての大阪のイメージは大きく変わってしまうのではないか? 東京人にとっての大阪のイメージは何よりも低くてフラットな土地だからだ。大阪にも高台や土地の起伏がある! という驚き。まあ、これが大阪だ! という感じで流されれる映像の大部分は、道頓堀や堂島や梅田といったまさに低くてフラットな土地である。大阪城が映されても、その背後の上町台地は多くの場合、フレームの外側になってしまう。番組によると、上町台地は大阪一帯が海であった縄文時代から半島として存在していた。そのような古い陸地がやがて織田信長に目をつけられ、信長を継承した豊臣秀吉によって本格的に都市として開発されたという叙事。しかし、それは大事な起源を隠蔽することになっている。信長が目をつける以前に上町台地に目をつけて定着したのは本願寺教団(浄土真宗)だった筈。現在の大阪城はそもそも石山本願寺だった。信長にしても、上町台地を中心とする大阪の地をゲットできたのは石山合戦という長い侵略戦争の末だったわけだ。さらに、本願寺は「大坂」(「大阪」)という地名の起源にも関っている*2

*1:https://www.nhk.jp/p/buratamori/ts/D8K46WY9MZ/episode/te/5ZVN1Z1312/

*2:See eg. 金龍静「1498年 一切衆生ヲ平等ニ往生セシメン――教団の誕生」『鴨東通信』(思文閣出版)29、p.6、1998. Mentioned in https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/05/02/081917