ピノチェト以前

ロバート・A・ダール『ポリアーキー』に曰く、


(前略)今日、ポリアーキーの可能性は、市民の側ばかりでなくあらゆる階級の軍人の間の、ある信念の力に直接依存しているということである。このようなわけで、軍隊が伝統的に政治的領域へ介入することを嫌ったチリでは、ポリアーキーが可能になった。一方、隣国のアルゼンチンでは、軍の指導者が選挙結果をアルゼンチンにとって悪い兆候であるとみなす時は、いつでも無効にする権利と義務があるという信念を抱いている限り、ポリアーキーは不可能なのである。(p.84)
??と思ったのだが、原書の刊行は1972年。つまり、アウグスト・ピノチェト*1のクーデタ以前だった(クーデタの勃発は1973年9月)。
ポリアーキー」とは「高度に包括的で、公的異議申立てに対し広く開かれた体制」、「かなりの程度民主化され、かつ自由化された体制」である(p.16)。