立花隆から

栗原俊雄「劣等感が生き方発見の原動力に」『毎日新聞』2021年1月10日


ノンフィクション作家の近藤雄生氏へのインタヴュー。この人については何も知らなかった。「吃音」の当事者で、『吃音 伝えられないもどかしさ』という本も出しているようだ。


大学時代に読んだ立花隆さんの『宇宙からの帰還』*1に影響を受けました。文章を読んでいない自分でも入っていける。本って面白いなと感じたのです。また自分の吃音のこともあって大学を出て就職は難しい、将来はフリーランスでやろうと思っていた時期でした。ああ「サイエンスジャーナリズム」という分野もあるのだなと、考えました。
その後に沢木耕太郎さんのノンフィクションを読み始めました。それで「サイエンスジャーナリズム」からジャーナリズム、ルポルタージュに興味が移っていきました。
宇宙からの帰還 (中公文庫)

宇宙からの帰還 (中公文庫)

  • 作者:立花 隆
  • 発売日: 1985/07/10
  • メディア: 文庫
「吃音」*2を巡って;

僕にとってのコンプレックスは吃音でした。今から考えると自分の症状はそれほど重かったわけではありませんが、電話をするのにもちゅうちょするなど、みんなができることが自分はできないことが大きな劣等感でした。
ただコンプレックスは原動力にもなる。僕にとっては、就職しないで生きる方法を真剣に考えるための最大の後押しとなりました。長い旅に出たのは、独自のことをやれば周囲に認めてもらえるのでは、と考えたからでもありました。全てのコンプレックスがプラスに転化できるとは簡単には言えませんが、そこから抜け出そうとすることが自分に合った生き方が見つかるきっかけにもなると思います。