遅すぎた判定

中日新聞』の記事;


死亡前 コロナ検査断られ 金沢の男性 死後に陽性判明
2020年12月5日 05時00分 (12月5日 10時12分更新)


石川県「医師の判断が必要」
 死後に新型コロナウイルス感染が確認されたとして、石川県が11月27日に発表した金沢市の男性は、県発熱患者等受診相談センターに電話してPCR検査を希望したが受けられなかったことが、本紙の取材で分かった。男性には、ぜんそくの疾患があったという。(堀井聡子)


 この男性は金沢大薬学系准教授の高橋広夫さん=享年四十二。妻(43)や知人の話では、高橋さんの自宅は県外にあり、金沢市内に単身赴任していた。十一月十六日に強い倦怠(けんたい)感があり、自宅療養中の二十日には三九度台の発熱があった。二十一日に医療機関を受診したところ、インフルエンザの検査は陰性で、薬を処方された。
 本人は「近くの医院」と話していたという。妻や知人とのメール記録によると、高橋さんは二十一日、県発熱患者等受診相談センターに電話してPCR検査を受けたいと伝えたが、「かかりつけ医の判断がなければ検査は受けられない」と告げられたという。
 通院後、熱は三七度台に下がったが、せきやのどの痛みが出たため、三連休明けの二十四日に同じ医療機関を再受診した。二十五日朝、妻がチャットでメッセージを送ったが返信がなかった。何度電話してもつながらなかったため、知人を通じて金沢大に連絡。二十六日に職員が自宅を訪れると、既に死亡していた。
 その後、保健所によるPCR検査で陽性が判明した。死亡を証明する死体検案書によると、死因は「不詳の内因死(病死)」。直接死因に関係しないが、影響を及ぼした傷病名として「COVID−19(新型コロナ)陽性」と記されていた。
 妻は本紙の取材に、高橋さんがPCR検査を受けられなかったことに「検査が間に合い入院できたら、夫は助かった」と悔やんだ。さらに「検査するかどうかの判断が、医師に限られていることは良くない。ちょっとでも具合が悪いと思ったら、すぐ検査を受けられるようにしてほしい」と訴えた。高橋さんは二十四日、妻に「自宅近くの医院で、コロナではないと言われた」とのメッセージを残していたが、医療機関名は告げていなかった。
 厚生労働省ぜんそくについて、コロナの重症化リスク因子に入れていないが、医師によると、コロナでぜんそくが悪化する可能性があるため、一般の人より慎重な診察が求められるという。
 高橋さんは生物工学が専門。中でも遺伝情報など膨大な数値データを解析する分野で、優秀な若手に研究費を助成する文部科学省の「卓越研究員」に選ばれていた。妻は「とても明るく、いつも全力で頑張る前向きな人。家族のことも大好きでした」としのんだ。
 高橋さんが受診相談センターにPCR検査を希望していたことについて、県健康推進課の相川広一課長は「個別の案件は把握していない」とし、「センターは通常通り対応した。検査するかは患者を診た医師が判断することだ」と話した。
https://www.chunichi.co.jp/article/165411

死後に「陽性」とわかってもね。
ところで、「発熱患者等受診相談センター」というのは所謂発熱外来ですよね。ここで、PCRが必要かどうか、診断してくれないんだ! そもそも「発熱」等のコロナかも知れない患者群を普通の医療機関に委ねてしまったら、院内感染や医療従事者への感染のリスクが高まってしまう。だからこそ、発熱外来などの専門機関に疑わしき人たちを集中させるのではないの? 
「自宅近くの医院で、コロナではないと言われた」というけれど、普通の町医者がそんなことを断言できるわけないでしょ。もしできたとすれば、今世間でPCRPCRって騒いでいるのは馬鹿らしいことだということになってしまうだろう。文系の私だって、そんな断言は納得できない。故人は、理系の学者、しかも医療とも無関係ではない薬学部の先生だったわけだ。持病の喘息の発作に襲われたのかどうかはわからないけれど、納得できないまま死んでいったということは確かだろう。