聖職者の行方

承前*1

朝日新聞』の記事;


カトリック、既婚男性も司祭に 900年の伝統を変更へ
10/27(日) 10:06配信朝日新聞デジタル


 約12億人の信徒を抱えるローマ・カトリック教会で、これまで独身男性しかなれなかった「司祭」に、既婚男性もなれるようにする提言が26日、バチカンで開かれた司教会議で採択された。12世紀に開かれた公会議で司祭の結婚が禁止されて以来、約900年続いた伝統が変わる可能性がある。

 会議では、南米アマゾン地域の環境問題などについて話し合われた。この中で、都市から遠く離れたアマゾンの奥地では、ミサを執り行う司祭の人材が不足しており、「既婚者でもミサを行えるようにしてほしい」との地元の要望についても議論された。

 26日に採択された最終文書では「適切な訓練を受け、教会のコミュニティーで認められた人」であれば、既婚男性が儀式をすることを認めるとした。こうした「改革」はフランシスコ法王が目指してきたもので、提言を受けて法王は、年内にも公式文書を出す意向を示した。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191027-00000009-asahi-int

遂に「採択」されたのね。今後「アマゾンの奥地」限定ということではなく普遍化を求める圧力が内在的に出てくるのでは? 「約900年続いた伝統」というけれど、カトリック自体が少なくともその2倍の歴史を持っているわけで、「伝統」といっても、それは神に由来するものではなく人に由来するものだということは明らかだろう。聖職者の独身化の歴史的背景に関しては、山内進『十字軍の思想』*2を取り敢えずマークしておく。とはいっても、カトリックの世界観、特に聖職者の位置づけに対しては、相当強い地震が起こるだろう。カトリックでは、人間は聖職者と俗人に分けられるが、その二分法は今後維持していけるのだろうか。俗人とは霊的・社会的に区別される身分しての聖職者という位置づけは維持され得るのか。それとも、専門職としての聖職者というプロテスタント化が進むのだろうか。
十字軍の思想 (ちくま新書)

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