21世紀とは思えない

承前*1

神庭亮介「「猿としたらエイズ」「黒人とかな」 吉本芸人のネタにHIV陽性者ら批判「差別を強化」」https://www.buzzfeed.com/jp/ryosukekamba/kinzoku2


「金属バット」の過去が発掘されている。「2012年2月に投稿された5分43秒の漫才動画」。「ボケ担当の小林さんが双子タレントの「マナカナ」こと三倉茉奈さんと三倉佳奈さんの見分け方を語り、友保さんがツッコミを入れる構成をとっている」;


小林さんがマナさんの特徴を「風邪をひいたことがない」「ずっと健康」と説明した後、2人のやりとりはこんな風に続く。

「カナはな、エイズなんやけど」(小林さん)

「終わってるやろ!」(友保さん)

「ちゃうねん。まだ発症はしてないねん。カナのええとこっていうのはな、発症してないのにな、抑える薬打ってないねん、アイツ」(小林さん)

「終わってるやんけ!」(友保さん)

「そこがロックンロールやねん、アイツ」(小林さん)

「死ぬでそんなヤツ」(友保さん)


そこから、マナカナの「好きな男性のタイプ」に話題は展開していく。

「カナの好きなタイプがな、人間じゃないんよな。人間はいらんらしい、もう」(小林さん)

「どういうこと?」(友保さん)

「もう、猿、犬、馬とか…」(小林さん)

「獣姦なん?」(友保さん)

「そこらへんで勝負しよんねんな」(小林さん)

「いよいよやな。そらエイズになるわ。猿とエッチしたらエイズになるわ」(友保さん)

「黒人とかな」(小林さん)

「やめ、お前!」(友保さん)

「そこらへんで勝負しよんねんな」(小林さん)

「終わってんな、アイツ」(友保さん)

この記事を読んだ感想はとても21世紀とは思えないということだった。「差別」云々以前に、これがお笑いのネタとして通用するのはせいぜい1980年代までだろうと思った。
さて、「日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス」の高久陽介代表がこのパフォーマンスについて、

コメントを寄せるだけでも炎上商法的なお笑いに加担しているようで嫌なのですが、率直な感想を言うなら、ショックというよりも「呆れた」です。

金属バットのお2人は、「言ってはいけないことを言って笑いをとる」という確信犯でやっているような印象を持ちました。

小さい子がウンコちんこと叫んで笑っているのと同じレベルにしか見えなかった。めっちゃダサいし、何も面白くない。

私はこのお2人のネタの露悪的手法よりも、それを聴いて観客が笑っているということに、より絶望を覚えます。
(後略)

とコメントしているのを読んで*2、〈装われた幼児性〉なのかな、と思った。〈キスすると妊娠する〉と同レヴェルの。
See also


神庭亮介「「金属バットの2人もHIV検査受けて」支援団体が指摘する「差別」と「他人事意識」」https://www.buzzfeed.com/jp/ryosukekamba/kinzoku4 *3

*1:https://sumita-m.hatenadiary.com/entry/2019/09/29/011415

*2: 神庭亮介「「猿とエッチしたらエイズになるわ」吉本芸人の漫才、観客の笑いに絶望を覚えた」https://www.buzzfeed.com/jp/ryosukekamba/kinzoku3

*3:「ぷれいす東京」の生島嗣代表へのインタヴュー。