トラッドの中のケイト

片山明「7月30日、今日は英国の至宝ケイト・ブッシュの誕生日」http://music-calendar.jp/2019073001/


7月30日はケイトマス*1
片山氏はフォークに詳しい方のようで、ケイト・ブッシュをブリティッシュ・トラッドの文脈で語っている;


デビュー作となった『The Kick Inside』(邦題:天使と小悪魔1978 年)はプログレッシヴとも言える凝った楽曲とポップ性が同居し、今あらためて聴いても斬新な作品だし、自らセルフ・プロデュースに乗り出し、ある意味、特異とも言える才能を爆発させた3rd アルバム『Never For Ever』(邦題:魔物語 1980 年)、続く『The Dreaming』(邦題:ドリーミング1982年)の凄さ、底知れぬ魅力は、現在においてもその力を失っていない。

以降の作品にも言えるが、彼女の音楽の特徴として、歌詞において英国の伝承バラッドのような物語性、寓話的な要素が見られることがあげられるだろうか。時に血なまぐさく、性的なニュアンスを感じさせる表現が散見されることもある。彼女よりも世代としては上になるが、英国にはアン・ブリッグスやジューン・テイバー、シャーリー・コリンズをはじめとした名だたる女性のトラッド、バラッド・シンガーもいるものの、彼女らと決定的に違うのは、ケイトはバラッド的な詞をすべて自作し、それを天才的とも言える凝った楽曲に乗せ、ポップな領域にまで拡大してみせたことだ。それはポピュラー音楽史上、前例のないものだった。また、1979 年以降は一切のライブ活動を封印し、スタジオ・ワークに専念するようになる。綿密に楽曲を練り、最新のレコーディング技術を駆使して創造の限りを尽くし実験を繰り返す姿勢には、シンガーという枠ではとらえきれず、彼女を“芸術家”と呼びたがるファンが多いのも頷けるところだ。もちろん、シンガーとしての実力も、とんでもなく凄いのだけれど。

Kick Inside

Kick Inside

Never Forever

Never Forever

The Dreaming

The Dreaming