或る不都合

承前*1

深海「百田尚樹の新感覚ライト(right)ノベル「 #日本国紀 」の闇深い内幕が明らかに」https://buzzap.jp/news/20181113-hyakuta-nihonkokuki2/


百田尚樹の新刊『日本国紀』についての続報。
この本には「監修」をした人がいて、最初に「監修」者になる筈だった金谷俊一郎という人が10月中に「逃亡」。この金谷という人は「カリスマ予備校教師」として有名であるらしいけれど、知らない! その後「監修者」として登場してきたのが久野潤という人。この人もどういう人物なのか全然知らないのだけど、上掲の記事によれば、


久野潤ツイッターのプロフィールによると「日本の国のかたちと伝統を守り、知的/文化的活動に生涯を捧げる歴史学者」で、竹田研究財団理事、京都竹田研究会幹事長、日本国史学会事務局長という肩書きも持っています*2

「竹田?」と思われた方はご明察。いずれもサンフランシスコの慰安婦像に「鼻クソの刑を執行」した*3タレントの竹田恒泰*4が深く関わっています。

竹田恒泰氏は竹田研究財団の理事長であり*5、竹田研究会*6

また、日本国史学会はその名前とは裏腹に、日本歴史学協会に加盟しておらず、日本学術会議などによる「学会名鑑」にも登録していない極めて私的な団体。

設立の理由は「唯物論的な経済史観、階級闘争史観とは異なった日本史観による、あらたな日本の国史を形成し、議論する場としての学会をつくらなければならない」というもので*7竹田恒泰は発起人のひとりに名を連ねています。

また、この日本国史学会は2015年まで竹田研究会と同一住所に事務所を置いていたことも指摘されており*8、その近さが伺えます。

百田本に戻ると、

しかし学術的な裏付けゼロの「ぼくがかんがえたさいきょうのれきし」を「日本通史の決定版!」と帯で謳う幻冬舎の不誠実な態度は、もはや噴飯ものと言わざるを得ません。

やはり本書については、歴史本ではなく「日本列島がトラックに撥ねられ異世界転生した並行世界で無双する歴史を描く、新感覚ライト(right)ノベル」と判断したと考えるのが妥当ではないでしょうか?

ここで不都合が出現する。right novelは正しい小説という意味にもなる。