「クール」ではある?

NHKの報道;


クールジャパン機構 マレーシアの日本専門デパートから撤退
2018年6月8日 21時48分


日本文化の発信拠点としてマレーシアにオープンした日本専門デパートの運営から、官民ファンドのクールジャパン機構が撤退することになりました。伝統工芸品からアニメなどのポップカルチャーのグッズも取りそろえていましたが、運営は大幅な赤字となっていました。

マレーシアの首都、クアラルンプールにある日本専門デパートは2年前にオープンし、クールジャパン機構と三越伊勢丹ホールディングスが共同で運営してきました。

店は日本の文化などを海外で発信する拠点として、伝統工芸品や衣服、アニメなどのポップカルチャーを伝えるグッズ、それに日本酒などを取りそろえていました。

しかし、販売の苦戦が続き、去年も売り上げが目標を大きく下回り、5億円の赤字となったため、クールジャパン機構が店を運営する会社の株式をすべて手放して撤退することになりました。

クールジャパン機構が手放す株式は三越伊勢丹側が買い取り、店の営業を続けるということで、今後、品ぞろえを見直すなどして早期の黒字化を目指すとしています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180608/k10011469751000.html

何故、店名は伏せられているのだろうか。三越伊勢丹ホールディングスは「品ぞろえを見直すなどして早期の黒字化を目指す」ということだけど、要するに黒字にするのが困難なビジネスを押しつけられたわけで、株主訴訟とか起こされたら、勝てるのだろうか。
さて、この「ISETAN The Japan Store」を巡っては、「クールジャパン機構」の「撤退」発覚の直前に発表されて、かなり話題*1になった記事がある;


古谷経衡「海外で見た酷すぎるクールジャパンの実態〜マレーシア編〜」https://news.yahoo.co.jp/byline/furuyatsunehira/20180607-00085979/


先ずは一言。エアコンはちゃんと効いていたわけですよね。だったら、「クールジャパン」に一応偽りはないわけだ。それはともかくとして、「The Japan Store」がかなり酷いということはわかるけれど、もっと多くの人のレポートを読んでみたいと思った。マレーシアのクアラルンプールは一国の首都であり、東南亜細亜における主要都市のひとつなので、在住日本人もそれなりに多く、日本人観光客も少なくない筈なのだ。古谷氏は、男性というジェンダーのせいもあるのか、デパートを語るときに避けることはできないだろう、ファッションやコスメとかにあまり詳しそうではないのだ。コム・デ・ギャルソンはあるの? イッセイ・ミヤケは? ツモリチサト*2は? 或いは、あのピンクハウス*3はどうなの? とか知りたいじゃないですか。
でも、「日本専門デパート」というのはそもそも不可能に近い感じだ。「日本専門デパート」なんて、日本国内にもないわけでしょ。全て、日本のブランド、できればMade in Japanでなければいけないわけでしょ? 普通、日本のデパートでは、1階に、ルイ・ヴィトンエルメス、シャネル級のブランドが鎮座しているわけだけど、そういう仕掛けも使えないわけでしょ。
「The Japan Store」に玩具売り場があるかどうかはわからないけど、別に日系でなくても、(中国における知識をもとに言えば)玩具売り場といえば、トミカのミニカー、バンダイが展開する「ウルトラマン」関係のグッズは不可欠な筈なのだけど。それから、「シルバニアファミリー*4も! また、大友克洋*5が好きだというのはわかるけれど、(少なくとも大人にとっては)アニメや漫画だけが日本文化の発信ではないだろう。中華圏(台湾や中国大陸)で近年流行っている日本の本といえば料理本じゃないかと思う。レストラン・ガイドや所謂グルメ本もそうなのだけど、いちばん売れているのは、お弁当などの日常料理のレシピ本。例えば無印良品を好むような〈意識高い系〉の人々を中心に売れている。翻訳だけではなくて、北京在住の日本人主婦が中国語で書いた本も売れている。マレーシアも華人社会の一部なので、台湾や中国大陸からそういう本は流れてきている筈だと思うのだけど。