同じ基督教でも

私の臓器はだれのものですか (生活人新書)

私の臓器はだれのものですか (生活人新書)

生駒孝彰*1『私の臓器はだれのものですか』日本放送出版協会(生活人新書)、2002


既に10年以上前の本だが、「脳死」と「臓器移植」*2に関する日米の宗教界の立場を概観している。また、最後の方では、「安楽死」(「尊厳死」)問題への言及もあり。興味深かったのは、米国の基督教関係者は宗派を問わず「脳死」者からの「臓器移植」を肯定しているのに対して、日本のクリスチャンにはカトリックプロテスタント問わず、慎重な立場が多いということ。仏教の場合、タイ、台湾、韓国ではほぼ肯定的であるのに対して*3、日本の仏教では慎重論或いは反対論が多い。なお、生駒先生も所属する浄土真宗では、「大谷派」(東本願寺)と「高田派」が「臓器移植」に断固反対しているのに対して、「誠証寺派」は賛成している。それから、日本の仏教界で、或る意味において徹底した考えを貫いているのは作家のひろさちや氏。彼は「脳死」者からの「臓器移植」のみならず、角膜や鼓膜の移植、腎臓などの「生体間移植」も認めず、さらに「輸血」にも「臓器移植」の一種だということで、反対している。