「パワハラ」よりも

朝日新聞』の記事;


レスリン伊調馨パワハラ被害か 関係者が告発状
2018年2月28日22時29分


 レスリング女子で五輪4連覇を果たした伊調馨選手(33)=ALSOK=が日本協会の栄和人・選手強化本部長からパワハラ行為を受けたとして、レスリング関係者が、協会を監督する内閣府の公益認定等委員会に告発状を送っていたことが28日、分かった。告発者の代理人弁護士事務所が明らかにした。

 今年1月18日付で送付された告発状によると、伊調選手が栄氏から指導を受けていた中京女子大(現至学館大)を離れて拠点を東京に移した後、栄氏は伊調選手のコーチを強化委員からはずしたり、練習拠点への出入りを禁止にしたりしたという。

 栄氏は朝日新聞の取材に対し、「協会が対応します。(伊調選手とは)仲が悪いわけではないし、私が練習をどうこういう話ではない」と話した。

 伊調選手は2004年アテネ、08年北京、12年ロンドン、16年リオデジャネイロ大会を制し、女子の個人種目では史上初となる4連覇を達成。国民栄誉賞も受賞した。
https://www.asahi.com/articles/ASL2X6X6HL2XUTQP01J.html

女子柔道日本代表ティームにおける監督の暴力とパワハラが発覚したのは2013年のことだったけれど*1、それとはかなり性格を異にする事件だと思った。まあ、伊調さんはその頃既に「パワハラ」の只中にいたわけだけど。こういう確執というのは、レスリングというかスポーツだけでなく、師弟関係が重視される学問の世界などでは、頻繁というわけはないだろうけど、発生しても別に不思議なことではないなと思った。師匠の嫉妬といえばいいのだろうか。さて、内閣府の対応が鈍いのに苛立って、〈文春砲〉の支援を仰いだらしいのだが、その『文春』の記事(但し、ネット用のダイジェスト版)*2を読んで思ったのは、この栄和人というコーチの性格が悪いということよりも、(それもあるのだろうけど)「日本レスリング協会」というかレスリング界の凄さだった。かなり前に某大学で博士論文の指導を巡って師弟間の確執があり、キレた大先生がそのほかの先生方にXXの指導をしないように! と電話をかけまくったということがあった。でも、大学図書館にXXを出入り禁止にしろと圧力をかけたということはなかったし、仮にあったとしても図書館側がそんな圧力に真面目に対応することなどあり得ない話だろう。ところが、レスリング界ではそれに類したことが実際に起こっていたらしいのだ。合宿への参加禁止とか、警視庁所属の田南部力コーチに伊調馨への指導を止めるよう要求したとか、拠点としていた警視庁レスリング部への出入り禁止処分とか*3。これは性格の悪いオヤジのルサンティマンが問題というよりも、そういう私怨が〈組織の意志〉として罷り通ってしまうことの方が問題なのだろうと思う。
さて、栄和人氏は容疑は否定しつつ「謝罪」したという*4。最近、米国でもこういうことがあったよ*5
See also


kyama77*6「伊調選手へのパワハラで告発状‥レスリング界に激震が走っている」https://matome.naver.jp/odai/2151982741549380601
ロト8「驚天動地!女子レスリン伊調馨が栄強化本部長を「パワハラ」で告訴!」https://matome.naver.jp/odai/2151981991046587201