「プロフィールや過去のツイートまでチェックして」

承前*1

小林明子*2「レイプ被害者が実名で声をあげる理由を知っていますか。」https://www.buzzfeed.com/jp/akikokobayashi/second-rape


『Black Box』を上梓した伊藤詩織さんへの『BuzzFeed News』のインタヴュー。但し、記事のスタイルとしては、伊藤さんの言葉をそのまま引用するのではなく、記者の言葉として要約する仕方を採っている。
少し引用;


絶望の中で、自ら防犯カメラを確認したりタクシー運転手に証言を得たりして客観的な事実を積み上げた詩織さんは、山口氏の不起訴を不服として検察審査会に申し立て、冒頭の会見を決意することになる。

信頼する知人から、リクルートスーツを着て会見に臨むようにアドバイスされたが、断った。

水着、スカート、制服......。幼い頃、痴漢などの性的被害に遭ったとき、「そんな服を着ているからだ」と周囲に言われたことが何度もあった。何を着ていようが責められるべきではないし、ステレオタイプな「被害者」のイメージを壊したかった。

案の定、ネット上の書き込みにはこのような内容があった。

「白いシャツをきっちり着て、しくしく泣いて、言葉を詰まらせて退場していたら、今ごろみんな信じていたのに」

友人のSNSを通して写真を見つけ出した人から「笑ってるじゃん」とコメントされた。「泣くか怒ってくれないと伝わらない。被害者なら被害者らしくしてくれないと」と警察官に言われたこともあった。

声をあげる態度を批判する人、政治的な関わりを邪推する人。「被害者らしくない」からといって、最も伝えたいことが伝わらないのはもどかしかった。

「なぜ私がこの話をするのか、理解できない人が多かったんでしょうね。何もメリットがないのに、実名顔出しでこんな話をしないでしょう、という前提があるのかなと思いました」

ではどうすれば、声をあげた本当の理由をわかってもらえるのだろうか。

詩織さんは、ネット上のコメントを片っ端から確認していった。実際にどのような反応がどのくらいあり、なぜそんな反応をするのかをできるだけ知ったうえで、伝え方を考えようと思ったからだ。匿名のツイートでは実際は人物像はわからないが、プロフィールや過去のツイートまでチェックして、相手を理解しようとした。

口汚く罵ったり落ち度を指摘したりするコメントを見ていると、どんどん体が冷えてきて、呼吸が浅くなってくる。もう消えてしまうのではないか、と思うほどだった。