「とかく殺しにくい世の中」(西村京太郎)

中村真理子「戦争、日本人に向いていない 西村京太郎が自伝的作品」http://book.asahi.com/booknews/update/2017100600002.html


作家の西村京太郎氏*1が最近自伝『十五歳の戦争』を上梓したのだという。西村氏は敗戦の年の4月に陸軍幼年学校に入学した。
さて、


新書では戦中戦後の日本の歩みと並行して、自身の作家生活を見つめ直す。

 松本清張『点と線』を読んで「これなら、自分にも書ける」と錯覚して、29歳で人事院を退職。しかしやっとデビューしても10年以上、売れない時期が続いた。転機は78年、十津川警部が活躍するトラベルミステリー『寝台特急ブルートレイン)殺人事件』だった。

 「突然売れました。売れる前も後も同じように一生懸命書いていたのですから、なぜ売れたのかわかりません。時代に受け入れられたということでしょうか」

 戦争から小説へ質問を転じると笑顔に。「ミステリーの話は平和でいい」。年6度の取材旅行で12社分の小説を書くという作家生活を続けてきた。出版した本は500冊を超えた。「小説のストーリーを考えているときが一番楽しい」

 「1分あれば殺せます」。時刻表で1分のずれを探すという。平日と週末で入線するホームが変われば時差が生まれる。最近、地方の豪華な観光列車が増えているが、カシオペアなどの昔ながらの夜行列車が好きだった。「豪華な列車に乗ると『車内では殺さないでください』と車掌に言われるんですよ。こっちは車内で殺すために乗っているのにね」

 特急の窓が閉め切りになって、窓越しの殺人トリックが使えなくなった。スマートフォンは一瞬で最適な順路を検索してしまう。「とかく殺しにくい世の中になりました」

鉄道物でブレイクする以前(「売れる前」)の(誘拐物の)『消えた巨人軍』とか(孤島物の)『幻奇島』の印象が強かったので、何で鉄道物ばかりなの? とも思っていたのだが、そもそもの出発点が松本清張『点と線』*2だったのか。
点と線 (新潮文庫)

点と線 (新潮文庫)

ISBN:4195671140
幻奇島 (徳間文庫)

幻奇島 (徳間文庫)