『村上春樹雑文集』

村上春樹 雑文集 (新潮文庫)

村上春樹 雑文集 (新潮文庫)

今週の初めに『村上春樹雑文集』*1を読了した。


前書き――どこまでも雑多な心持ち


序文・解説など
自己とは何か(あるいはおいしい牡蠣フライの食べ方)
同じ空気を吸っているんだな、ということ
僕らが生きている困った世界
安西水丸はあなたを見ている


あいさつ・メッセージなど
「四十歳になれば」――群像新人文学賞・受賞の言葉
「先はまだ長いので」――野間文芸新人賞・受賞の言葉
「ぜんぜん忘れていい」――谷崎賞をとったころ
「不思議であって、不思議でもない」――朝日賞受賞のあいさつ
「今になって突然というか」――早稲田大学坪内逍遥大賞・受賞のあいさつ
「まだまわりにたくさんあるはず」――毎日出版文化賞・受賞のあいさつ
「枝葉が激しく揺れようと」――新風賞・受賞のあいさつ
自分の内側の道の場所を探索できた
ドーナッツをかじりながら
いいときはとてもいい
「壁と卵」――エルサレム賞・受賞のあいさつ


音楽について
余白のある音楽は聴き飽きない
ジム・モリソンのソウル・キッチン
ノルウェイの木を見て森を見ず
日本人にジャズは理解できているんだろうか
ビル・クロウとの会話
ニューヨークの秋
みんなが海をもてたなら
煙が目にしみたりして
ひたむきなピアニスト
言い出しかねて
ノーホェア・マン(どこにもいけない人)
ビリー・ホリデイの話


アンダーグラウンド』をめぐって
東京の地下のブラック・マジック
共生を求める人々、求めない人々
血肉のある言葉を求めて


翻訳すること、翻訳されること
翻訳すること、翻訳されること
僕の中の『キャッチャー』
準古典小説としての『ロング・グッドバイ
へら鹿を追って
スティーヴン・キングの絶望と愛――良質の恐怖表現
ティム・オブライエンプリンストン大学に来た日のこと
バッハとオースターの効用
グレイス・ベイリーの中毒的「歯ごたえ」
レイモンド・カーヴァーの世界
スコット・フィッツジェラルド――ジャズ・エイジの旗手
小説より面白い?
たった一度の出会いが残してくれたもの
器量のある小説
カズオ・イシグロのような同時代作家を持つこと
翻訳の神様


人物について
安西水丸は褒めるしかない
動物園のツウ
都築響一的世界のなりたち
しゅうしゅうする目と、説得する言葉
チップ・キッドの仕事
「河合先生」と「河合隼雄


目にしたこと、心に思ったこと
デイヴ・ヒルトンのシーズン
正しいアイロンのかけ方
にしんの話
ジャック・ロンドンの入れ歯
風のことを考えよう
TONY TAKITANIのためのコメント
違う響きを求めて


質問とその回答
うまく歳をとるのはむずかしい
ポスト・コミュニズムの世界からの質問


短いフィクション――『夜のくもざる』アウトテイク
愛なき世界
柄谷行人
茂みの中の野ネズミ


小説を書くということ
柔らかな魂
遠くまで旅する部屋
自分の物語と、自分の文体
温かみを醸し出す小説を
凍った海と斧
物語の書きサイクル


特別対談 安西水丸×和田誠


文庫版のためのあとがき

村上春樹の「雑文」コレクション。腰巻に曰く、

小説家の魂が宿る69編!

デビューの言葉から伝説のスピーチまで、未収録・未発表のエッセイや文章が大集合。

いよいよ文庫で登場!

あの「壁と卵」*2の(多分著者自身による)日本語版も収録されている。ところで、私にとって、最も印象的だったテクストは、サリンジャーの『ライ麦畑(キャッチャー・イン・ザ・ライ)』*3について語った「僕の中の『キャッチャー』」(pp.285-295)。