実はカフカ的かも

埼玉新聞』の記事;


「罰金か性行為か」警官装いわいせつ行為、容疑の男再逮捕/西入間署

埼玉新聞 5/10(水) 22:23配信


 埼玉県鶴ケ島市の男が強姦(ごうかん)容疑などで逮捕された事件で、県警捜査1課と西入間署の合同捜査班は10日、強制わいせつの疑いで、鶴ケ島市新町2丁目、建築業の男(27)=強姦罪などで起訴=を再逮捕した。

 再逮捕容疑は2015年11月23日午前1時半ごろ、同市内のスーパー銭湯の駐車場で、交際相手とレンタカー内にいた東京都内の20代女性に対し、警察官を装って「あなたたちの行為は条例違反です」とうそを言った上、約500メートル離れた住宅街の路上に連れ出して「罰金十数万円を払うか、性行為をするか」と脅迫し、わいせつな行為をした疑い。

 同課によると、男は当時、上に青色のジャージーを着て白の六分丈ズボンをはいていた。警察かと疑われ、「今日は非番だ」などと怒鳴って信用させた。普段からスーパー銭湯の駐車場を利用し、車内にいた男女を見つけて犯行に及んだという。

 交際相手の20代男性が110番。付近の防犯カメラの映像などから男の関与が浮上した。「間違いない。むらむらしてやった」と容疑を認めているという。

 男は4月9日、同市内の30代女性に暴行を加えたとして逮捕されていた。同市内では12年以降、女性を狙ったわいせつ事件が20件余り発生し、県警が関連を調べていた。同課はさらに余罪があるとみて捜査している。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170510-00010005-saitama-l11

TVドラマなんかだと、こういうもんだけどと、警察手帳(らしきもの)をかざすのだけど、そういうことはなかったのか。
さて、いきなり「条例違反」と言われて、被害者は戸惑ったりしなかったのだろうか。具体的に何がどういう「条例違反」なのか。これはけっこうカフカ的な状況なのかも知れない。〈罰〉が〈罪〉に先行する世界。ミラン・クンデラ曰く、

ラスコーリニコフはおのれの罪の意識に耐えきれなくなり、心の平穏を得るために、進んで罪に同意する。これは過失が処罰を求めるという、よく知られた状況である。
カフカにおいては論理が逆転する。罰せられる者は罰の原因を知らない。処罰が不条理なのはじつに耐えがたいことだから、被告は心の平穏を得るために、おのれの刑罰を正当化したいと願う。つまり、処罰が過失をさがすのだ。
(略)
『審判』の第七章で、じぶんがなんで告発されたのか知らないKは、みずからの生涯、過去のすべての「どんな細かなことまで」も検討しようと決意する。ここで「自己有罪化」の機制が作動する。被告がみずからの過失をさがすのだ。
(「その後ろのどこかに」[西永良成訳]in 『小説の技法』、pp.144-145)
小説の技法 (岩波文庫)

小説の技法 (岩波文庫)

審判 (新潮文庫)

審判 (新潮文庫)

Tony Kim*1も先ず拘束されたという事実が確定し、拘束の原因はじっくりと時間をかけて捏造されていくということだろうか。