Jehovah's Witnesses banned

“Russia bans Jehovah's Witnesses and labels group as extremists” https://www.theguardian.com/world/2017/apr/20/russia-bans-jehovahs-witnesses


露西亜では「イェホヴァの証人」*1の活動が全面的に禁止された。露西亜最高裁判所露西亜司法省の請求を認め、「イェホヴァの証人」を「極端主義」と認定し、露西亜連邦内にある395箇所の支部の閉鎖及び教団財産の差し押さえを命じた。司法省は「イェホヴァの証人」が「市民の権利、公共の秩序及び公共の安全に対する脅威」を構成していると主張している。たしかに、「イェホヴァの証人」の輸血の拒否は露西亜のみならず何処の国でも物議を醸している。例えば、信者だった殿下というかプリンスは輸血禁止の戒律のために手術ができず、麻薬性のある鎮痛剤に頼り、命を落としてしまった。しかし、この人たちは非暴力主義というか、この世のことに対するコミットメントからの撤退を標榜しており、イスラームや基督教の原理主義者たち、或いはオウム真理教のように、この世に対して暴力的に敵対することはない。ただ、政治に参加せず、公務員にもならず、兵隊にもならないだけ。「証人」という名前の通り、この人たちにとって、この世の終わりのハルマゲドンの主体は神であって、人間は「証人」として見物するだけなのだ。オウム真理教はかつて「ハルマゲドン」だと言ってテロを起こしたが、これは(「イェホヴァの証人」の視点からすると)ちゃんちゃらおかしいということになる。だから、リベラルな社会においては、眉を顰められることはあっても、基本的には信教の自由の範囲内で処理されているわけだ。徴兵制度とは正面から衝突するけれど、多くの国で良心的兵役拒否が適用されているのでは?*2 だから、「イェホヴァの証人」を許容するかどうかということは、社会の性格を判定する上で重要な指標になる。
なお、「イェホヴァの証人」は露西亜国内に17万人の信者がいると自称している。
See also


Giles Fraser*3 “In Russia, the persecution of Jehovah’s Witnesses begins all over again” https://www.theguardian.com/commentisfree/belief/2017/mar/09/in-russia-the-persecution-of-jehovahs-witnesses-begins-all-over-again



ここではナチスによる「イェホヴァの証人」弾圧が言及されている;


Jehovah’s Witnesses were taken to Nazi death camps for that very reason*4. They refused to swear loyalty to a worldly government and refused to serve in the military. They wouldn’t say Heil Hitler either. So within months of the Nazis coming to power, their meetings were ransacked and a Gestapo unit was set up to register all known Jehovah’s Witnesses. Their children were taken off them to receive a proper patriotic German education. And they were given their own purple triangle to wear as identification. In 1942, Wolfgang Kusserow was beheaded in Brandenburg prison by the Nazis for refusing to fight. “You must not kill,” he said at his trial. “Did our creator have all this written down for the trees?”
また、旧蘇聯では1951年にスターリンの指示の下、「イェホヴァの証人」信者9000人がシベリアに追放されている*5
「イェホヴァの証人」を巡っては、大泉実成氏の『説得 エホバの証人と輸血拒否事件』を再びマークしておく。
説得―エホバの証人と輸血拒否事件 (講談社文庫)

説得―エホバの証人と輸血拒否事件 (講談社文庫)