大岡信

朝日新聞』の記事;


詩人の大岡信さん死去 朝日新聞コラム「折々のうた

2017年4月5日18時14分


 朝日新聞の詩歌コラム「折々のうた」で知られ、文学をはじめ音楽、演劇、美術など多彩な分野で評論活動を行った詩人で、文化勲章受章者の大岡信(おおおか・まこと)さんが5日午前10時27分、誤嚥性(ごえんせい)肺炎のため静岡県三島市の病院で死去した。86歳だった。家族で密葬をし、後日お別れの会を開く予定。喪主は妻で劇作家の深瀬サキ(本名・大岡かね子)さん。

 31年、歌人大岡博の長男として現在の静岡県三島市に生まれ、旧制沼津中在学中から詩を書き始めた。旧制一高を経て、東大国文学科在学中の51年、日野啓三らと同人誌「現代文学」を創刊。53年、読売新聞社に入社し、外報部勤務のかたわら詩作を続け、54年に谷川俊太郎さんや茨木のり子らの詩誌「櫂(かい)」に加わった。55年に「現代詩試論」を刊行し、批評家として頭角を現す一方、56年の第1詩集「記憶と現在」でみずみずしい作風が注目された。

 63年に退社後、本格的な創作活動に取り組んだ。主な詩集に「水府 みえないまち」「草府にて」「春 少女に」(79年無限賞)、「故郷の水へのメッセージ」(89年現代詩花椿〈つばき〉賞)、「地上楽園の午後」(93年詩歌文学館賞)など。古今東西の文学・芸術の知識に裏打ちされ、豊かな叙情をたたえた作品群は戦後詩史の中で重要な地位を占める。

 評論活動では伝統的な詩歌の世界に目を向けた。主な評論集に「蕩児(とうじ)の家系」(69年歴程賞)、「紀貫之」(72年読売文学賞)、「うたげと孤心」「詩人・菅原道真」(90年芸術選奨文部大臣賞)など。

 和歌や俳句から歌謡や漢詩、近・現代詩に至るまで多彩なジャンルの詩歌を取り上げた人気コラム「折々のうた」を79年1月に始め、詩歌の魅力を広く読者に伝えた業績で80年に菊池寛賞。コラムは休載をはさみながら07年3月まで計6762回続いた。

 連歌連句の伝統を踏まえながら詩を共同制作する「連詩」の創始者でもある。実相寺昭雄監督の映画「あさき夢みし」の脚本、武満徹らとの歌曲の共同制作、丸谷才一井上ひさしらとの連句の会、放送劇や戯曲など活動は多方面にわたった。

 明治大や東京芸術大の教授を務め、89〜93年に日本ペンクラブ会長、01〜07年度に朝日賞選考委員。95年恩賜賞・日本芸術院賞、96年マケドニアの国際的なストルガ詩祭で金冠賞、97年朝日賞と文化功労者、02年国際交流基金賞、03年文化勲章、04年には仏レジオン・ドヌール勲章オフィシエ

 09年に脳出血、11年に誤嚥性肺炎を患い、病気療養のため、東京から静岡県裾野市へ転居。同年、「大岡信ことば館」*1が同県三島市に開館した。14年末にインフルエンザで体調を崩して15年春まで入院。その後は裾野市の自宅で闘病していた。

 東京経済大教授で芥川賞作家の大岡玲(あきら)さんは長男。
http://www.asahi.com/articles/ASK454JLLK45UCLV00F.html

大岡信*2の『肉眼の思想』が文庫本で出たのは1979年。私が大学に入った年。これは(自分にとっては)衝撃的な本だった。前衛的な藝術(美術、音楽、文学)を扱った評論集としては初めて読んだ本だった。
『肉眼の思想』については、例えば、


吉田茂生「『肉眼の思想 現代芸術の意味』」http://dyna.geo.kyushu-u.ac.jp/~yoshida/japanese/books/2006/ooka20060811.html
「『肉眼の思想』」http://d.hatena.ne.jp/k-bijutukan/20160316#p1
「『肉眼の思想』続き」http://d.hatena.ne.jp/k-bijutukan/20160317#p1
「『肉眼の思想 現代芸術の意味』補遺」http://d.hatena.ne.jp/k-bijutukan/20160318#p1