蝙蝠傘もミシンも

朝日新聞』の記事;


手術台の患者そばでVサイン 院長が「記念撮影」を指示

中村幸基

2017年2月23日20時04分

 福岡県田川市の村上外科病院の医師や看護師が手術室で記念撮影し、看護師が写真2枚をSNSに投稿していた。手術台に横たわる患者のそばに立つ医師らの写真と、Vサインをする看護師の写真だった。インターネット上で「非常識だ」と批判が広がり、病院側は23日、記者会見を開いて謝罪した。

 病院の説明によると、1月31日、腕を骨折した患者の手術後、手術を補助した村上直秀院長(85)の指示を受け、20代の女性看護師が病院のデジタルカメラで写した。看護師はプリントした画像を自分のスマートフォンで撮影して自身のインスタグラムに投稿し、拡散したという。

 患者は全身麻酔からの覚醒中で、包帯を巻かれた腕などが写っていた。顔などは写っていない。病院側は22日、患者と家族に謝罪したという。

 村上院長は会見で「(高齢の自分にとって)最後の手術になると考え、撮影させた。患者様への配慮を欠き、不快な思いをさせたことを深くおわび申し上げます」と話した。(中村幸基)
http://www.asahi.com/articles/ASK2R451LK2RTGPB007.html

これも広義の〈バカッター〉事件*1ということになるだろう。この85歳の老医師は一瞬にして晩節を汚すことになってしまった。まあ「患者様への配慮を欠」いた表現を使えば、この看護師がインスタに写真を上げさえしなければばれなくて済み、院長も穏やかな老後を過ごすことができたということになる。「不謹慎」とかそういうことよりも、「顔などは写っていない」とはいっても、本人を特定できるものが写っていたら、プライヴァシーの暴露、守秘義務違反ということにもなるのではないだろうか。
さて、アンドレ・ブルトン*2の『シュールレアリスム宣言』を読んだ人なら、或いは読んでなくても、「手術台」と聞けば、あと「蝙蝠傘」と「ミシン」がほしいよねと思うかも知れない*3。まあ、そういうと、やはり「患者様への配慮を欠」いている! と怒られてしまうだろうけど。
シュルレアリスム宣言・溶ける魚 (岩波文庫)

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