誤認というか混乱というか

承前*1

朝日新聞』の記事;


清原氏、現役時代の興奮剤使用告白 「集中力がアップ」

2016年12月29日23時51分

 覚醒剤取締法違反の罪で有罪判決が確定した元プロ野球選手の清原和博氏(49)が、29日に放映されたTBS系「ニュースキャスター」で、現役時代に「グリーニー」と呼ばれる興奮剤を使用していたことを告白した。現役中の覚醒剤使用は否定した。

 清原氏は「本当の名前は分からないのですが、最初は外国人選手に『興奮剤だよ』と勧められ、もらったりして使っていました。集中力がアップしました」などと語った。

 グリーニーは、緑色のカプセルに入っていたのが名前の由来とされる。大リーグでは2006年から禁止薬物に加えられた。日本のプロ野球でも現在、禁止薬物に指定されている。

 08年限りで引退した清原氏は、覚醒剤取締法違反の罪で懲役2年6カ月執行猶予4年の有罪判決が6月に確定している。
http://www.asahi.com/articles/ASJDY7S3YJDYUTQP01G.html

この「グリーニー」というのは野村貴仁の証言で出てきた。今回の清原の告白は野村の証言を半ば裏付けるものだといえるだろう*2。野村と清原の関わりを採り上げた際に、「そもそも「アンフェタミン」ってシャブの主成分なんだけど」と書いた*3。これは間違いです。俗に「シャブ」と呼ばれている薬物、所謂「ヒロポン」の化学物質としての名称はメタンフェタミン*4。間違えました、ごめんなさいで、この話は終わりになりそうだったのだけど、そう単純な話でもないようだ。ちょっと頭が混乱してきた。「覚醒剤」を取り締まる「覚せい剤取締法」が対象とする「覚せい剤」にはメタンフェタミンとともにアンフェタミンが含まれている。さらに、日本の厚生省が「覚せい剤取締法」をAmphetamines Control Lawと英訳したこともあるらしいのだ。「覚醒剤」をメタンフェタミンではなくアンフェタミンで代表させている*5。また、英語でstimulant drugというと、具体的にはアンフェタミンであることが多く、stimulant drugが「覚醒剤」と訳され、アンフェタミンのことを指していることも少なくない。また、そのアンフェタミンを含む「グリーニー」が「禁止薬物」に止まって、メタンフェタミンとしてのシャブや大麻のように、所持しているだけで逮捕される違法薬物になっていないのかというのが理解できない。日本の厚生労働省アンフェタミンに対するスタンスは世界的にも厳しい方だと言える。海外ではかなり一般的に行われているアンフェタミンADHD*6治療薬や抗鬱剤としての使用も認可していないのだ*7。また、メディアの方も「興奮剤」という、シャブじゃないから誤解しないで!という感じの表現を使っている。そこら辺の事情が全然わからないのだった。

「グリーニー」を巡っては、


赤坂英一「「あっ、グリーニーを忘れた!」 練習前に叫んだ投手」http://blogos.com/article/164561/


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