weが生まれる磁場

ネットだけではないのだが、匿名的な言説とそれによって構築されていく世論のようなもの。それに対しては、常に批判的な構えを取っていた。「匿名性の闇」として*1。さて、「はてな匿名ダイアリー」から生まれた「保育園落ちた日本死ね」が「新語・流行語大賞」にノミネートされ、選考委員の俵万智さんまで極右文士もとい分子や熱湯浴の攻撃に晒されるということが起こった*2。それで、〈闇〉としての匿名性だけでなくポジティヴな匿名性について考えてみないといけないなと思った。俵万智さんがいうように、たしかにこれは「世の中を動かした」*3。でもどのように? 多分、「匿名」であること、署名欄が空白であることによって、その空白を填めようとする新たな署名を誘ったのではないか。招待されたかのように、私も似たような状態だ、似たような経験があるという隠喩的原理、知り合いや近所に似たような人がいるという換喩的原理によって〈連署〉が続いた*4。空白の署名欄は複数の署名によって填められ、「匿名ダイアリー」は〈共著性〉を獲得した。或いは、新たなweが生成する磁場となった。また、少なからぬ人が自らが或る一人称複数に属していることを、この言葉を契機として見出した。「世の中を動かした」とはこういうことなのでは?
これは、デリダのいうcontre-signature(連署=反対−署名)の機制とは微妙にずれているね(See eg. 高橋哲哉デリダ 脱構築』、p.163ff.)*5

デリダ―脱構築 (現代思想の冒険者たち)

デリダ―脱構築 (現代思想の冒険者たち)

さて、


つるの剛士日本死ねに反発」http://taraxacum.seesaa.net/article/445034681.html
つるの剛士・親学の広告塔」http://taraxacum.seesaa.net/article/445121301.html



「保育園落ちた日本死ね」に反発したつるの剛士という人。よく知らないけれど、「親学」*6関係の人なのか。
ところで、私も一応「イクメン」であるけれど、世間では殆ど認知されていないようだ。