芥子といえば

朝日新聞』の記事;


「青いケシ」新種、ブータンで採取 山岳地帯で3種発見

山本智之

2016年12月24日10時29分


 「青いケシ」として知られるメコノプシス属の新種を、千葉県在住の植物写真家、吉田外司夫さん(67)と英国の植物分類学者らの研究チームが相次いで3種発見した。ブータンの標高4千メートル前後の山岳地帯で標本の採取に成功した。外国人が入りにくい国境近くのエリアで、これまで調査が進んでいなかったという。

 2013年から15年にかけて調査し、論文にまとめた。ブータン西部では、やや赤みを帯びた紫色の花を咲かせる「メコノプシス・エロンガタ」が群落を形成しているのを確認した。ほかの2種は東部で見つけた。「メコノプシス・ガキディアナ」は大型で背の高さが1・2メートルに達する。「メコノプシス・メラケンシス」は、茎に鋭いトゲがびっしりと並ぶのが特徴だ。

 吉田さんは「ブータン政府が調査に協力してくれたおかげで、新種の存在を明らかにすることができた。今後さらに調べれば、未知の植物や昆虫がまだまだ見つかりそうだ」と話している。

 メコノプシス属はヒマラヤ山脈や中国南西部などに分布、色鮮やかな花を咲かせることで知られ、これまで70種あまりが見つかっている。ケシ属とは別で、麻薬成分は取れない。(山本智之)
http://www.asahi.com/articles/ASJDR55Q7JDRULBJ005.html

「メコノプシス属」については、例えば


https://en.wikipedia.org/wiki/Meconopsis
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%B3%E3%83%8E%E3%83%97%E3%82%B7%E3%82%B9%E5%B1%9E
「ヒマラヤの青いケシ(ケシ科)」http://boo-bee.cool.coocan.jp/plants/eudicots-ranunculales-/meconopsis.htm
Mingli Zhang & Christopher Grey-Wilson “Meconopsis in Flora of China” http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=119934


さて、「ケシ」というと、藤圭子*1の「圭子の夢は夜開く」、或いはアグネス・チャン*2の「ひなげしの花」。勿論、藤圭子アグネス・チャンのイメージが全然違うように、「けし」と「ひなげし」は全然イメージが違う。「ひなげし」でややこしいのは、さらによく知られた別名があって、それらがまた違ったイメージを喚起することだろう。与謝野晶子*3の短歌で有名な「雛罌粟」(こくりこ)。夏目漱石の小説の題名にもなった「虞美人草」。「ひなげし」も「こくりこ」も「虞美人草」も植物学的には同一であるが、それぞれが喚起するイメージはかなり違う。なお、「メコノプシス属」であるが、寒色の花故に清楚さというイメージを喚起するけれど、日本語の文学の中で居場所を占めることは難しいだろう。何せまだ和名がないのだから。

虞美人草 (新潮文庫)

虞美人草 (新潮文庫)