羊を巡る冒険、或いは黄金時間

和田和子「眠れない時「羊を数える」は、日本では意味がなかった!」http://www.huffingtonpost.jp/kazuko-wada/counting-sheep-to-sleep_b_12112754.html


「睡眠改善インストラクター」だという。
何故日本人には効果がないのか(英国人には効果があるのか)。

そもそもなぜ「羊を数えると眠れる」と言われるようになったのでしょうか。特に有力と言われる3説を見ていきましょう。

説1."sheep"と"sleep"の自己暗示説

「眠れないときに羊を数えると良い」という方法の発祥の地はイギリスと言われています。

現地では "one sheep, two sheep......"と数えていくのですが、この「羊」の意である"sheep"(シープ)が、「眠り」の意である"sleep"(スリープ)と音感が似ており、脳が「眠れ」と言われているように錯覚するとのこと。

事の信ぴょう性はともかく、この説はあくまで英語で羊を数えたときの話。

日本語で「羊が一匹、二匹......」と数えても効果がないということだけは言えそうです。

説2.「重要なのはイメージ」説

日本ではあまり馴染みがありませんが、"発祥地" であるイギリスをはじめとした英語圏では、羊は人々にとってとても身近な動物でした。

この牧歌的で癒し効果溢れる羊を思い浮かべることで、英語圏の人々はリラックスでき、眠りにつきやすくなった、というのが2つめの説です。

とはいえ、あまり馴染みのない羊を日本人が一生懸命思い浮かべようとしても、かえって目が冴えてしまいそう。

残念ながら「イメージ説」も日本人には当てはまらない方法のようです。

説3.「単純作業は脳を落ち着かせる」説

羊を数えるのは、いわば単純作業。一般に単純作業をすると、脳を落ち着かせる作用のあるアルファ波が出てボーっとしてくるため、結果的に眠りやすくなると言われています。

3説の中でも極めて科学的で納得感のある説ではありますが、「イメージ説」のとき同様、日本人にあまり馴染みのない羊を数えると、脳が活性化し、かえって眠れなくなってしまいます。

どうやらこの説も「日本人が羊を数えると眠くなる」を証明することは難しそうです。

「睡眠」ということだと、


森戸やすみ*1「9時に寝ないとキレる子になる?」http://www.asahi.com/articles/SDI201609157448.html


曰く、


最近読んだ雑誌のコラムで、ある有名人が、成長ホルモンの「ゴールデンタイム」のことを書いていて、ビックリしました。

午後10時から午前2時までの「ゴールデンタイム」に睡眠をとっていないと、成長ホルモンが出ないらしいから早く寝るという話でした。「ゴールデンタイム」に眠っていると、成長ホルモンが多く分泌されるから免疫力が上がる、肌のシミ・シワ予防になってきれいになる、ダイエットの効果が上がるという説があるのはご存知ですか?

 私も10年以上前に、職場のナースから聞いたことがあります。「子どもが成長ホルモン補充療法をしているから、私も少し打っちゃおうかな」と冗談めいて話してましたが、「不足しているわけではない成人が打ったら過剰症になっちゃうんじゃないの?」と私は答えました。

「ある有名人」って誰?

 「ゴールデンタイムは嘘で、入眠直後の3時間が大事」「いや実は午前0-2時が大事」「夜中にめざめてしまう場合は注意!」「子どもにはやっぱりゴールデンタイムがある」など、様々な説があります。

 実は、「ゴールデンタイム」というものは誤解から広まった情報で、そういうものはありません。さらに、成人男性は入眠時に成長ホルモン濃度が上昇しますが、成人女性は日中の覚醒している時にも何回も成長ホルモン分泌のピークが来るんです。そしてさらに、まとまった睡眠を取っても、分割して取っても、眠りが妨げられたあとの再入眠をしても、成長ホルモンは分泌され1日の量は一定だと多くの研究者が言っています。詳しく知りたい方は、神山潤著『睡眠の生理と臨床』(2015, 診断と治療社)に詳しいですよ。


夜泣きは、生後3ヶ月から増え始め、5-8ヶ月がピークで3歳ごろまでにほとんどの子が収まります。上記の本には生後3-4ヶ月頃から睡眠時に成長ホルモンが出るようになり、4-6歳を過ぎると入眠期に多量に分泌されるという文献が引用されています。つまり、子どもも眠れば成長ホルモンが出るのです。そうだとすると、お昼寝をしていれば、夜の睡眠は少なくてもいいということになりますね。
また、「「◯時までに寝かせないと体が弱い子になる」「キレる子になる」「背が伸びなくなる」という説は医学的証拠のあることではありません」。