加藤九祚

『読売新聞』の記事;

94歳・加藤九祚さん、発掘調査ウズベクで死去
2016年09月12日 20時28分


 立正大学に入った連絡によると、シルクロードの古代遺跡を長年調査した文化史家、考古学者で国立民族学博物館名誉教授の加藤九祚(かとう・きゅうぞう)さんが12日、発掘調査で訪れていたウズベキスタンのテルメズで死去した。

 94歳だった。同大の調査団顧問として同国の仏教遺跡を調査に訪れていたが、体調不良で入院していた。

 陸軍工兵として従軍中に終戦を迎え、旧ソ連のシベリアに約4年8か月抑留。帰国後、出版社勤務の傍らシベリアの歴史などの研究を始め、1975年に同博物館教授に就任。中央アジアの歴史や文化を精力的に日本に紹介した。76年に「天の蛇 ニコライ・ネフスキーの生涯」で大佛次郎賞を受賞した。90歳を過ぎてもウズベキスタンに通い、発掘を続けていた。
http://www.yomiuri.co.jp/culture/20160912-OYT1T50075.html

加藤氏*1の名前を知ったのは、黒澤明が映画化したウラディミール・アルセーニエフの『デルス・ウザーラ』の訳者としてであった*2。ただ、加藤氏のことも、また「シベリアの歴史」のことも、数年前にAnna Reid The Shaman’s Coat: A Native History of Siberiaという本*3を偶々読むまでは忘れていたのだった。また、「シルクロード」(中央亜細亜)研究にもあまり親しんでいないが、それでも、この「シルクロード」(中央亜細亜)という中国でも露西亜でも印度でもヨーロッパでもアラブでもない空間にアカデミックな、或いは浪漫的な思いを寄せた人々の系譜(加藤氏もそれに連なる)には感嘆せざるを得ない。
デルス・ウザーラ モスフィルム・アルティメット・エディション [DVD]

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The Shaman's Coat: A Native History of Siberia

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さて、加藤氏の出自を巡って;


ノ・ヒョンソク「九十路を越えた“シルクロード権威者”の帰郷」http://japan.hani.co.kr/arti/politics/18451.html


加藤氏はシベリア抑留と朝鮮戦争の混乱を通じて、韓国への帰国を諦め、日本人として日本で生きることを選択した*4