最古の石器

承前*1

Ian Sample “Hand axes unearthed in Kenya are oldest advanced stone tools ever found” http://www.guardian.co.uk/science/2011/aug/31/hand-axes-oldest-advanced-stone-tools


ケニア北西部のTurkana湖の湖畔で約176万年前の石斧が発掘された。これまで発掘された最古の「進歩した石器(advanced stone tool)」はエチオピアのKonsoで発掘された140万年前のもの。但し、より素朴な石器については、タンザニアのOlduvai渓谷で260万年前のものが発見されている。こうした最初期の石器はOldowan Toolと呼ばれ*2、今回ケニアで発見されたようなより洗練された石器は(仏蘭西の遺跡に因んで)Acheulian Toolと呼ばれる*3。さて、記事によると、こうしたアフリカにおけるAcheulian Toolの発掘は「直立猿人(Homo erectus)」の起源や移住の問題に深刻な疑問を投げかけているという。何故直立猿人はアフリカから亜細亜へ石器作りのテクノロジーを携えて行かなかったのか。グルジアのDmanisi の180万年前の直立猿人遺跡では洗練されたAcheulian Toolは発見されていない。最も過激な意見は亜細亜における直立猿人*4はアフリカ起源ではなく亜細亜起源であるというもの。また、亜細亜に移住する途中で石器技術を忘却してしまったという意見もある。なお、倫敦の国立自然史博物館のChris Stringer氏*5は、直立猿人のアフリカ以外への拡散は現在考えられているよりも古い時代に開始されたと推論している。そして、洗練された石器の発明は移住後に複数回に亙って行われた、と。
ところで、石器といえば『2001年宇宙の旅』を思い出すというのもかなりベタだな。

2001年宇宙の旅 (ハヤカワ文庫 SF 243)

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