創文社の終わり

朝日新聞』の記事;


学術書専門の創文社、売り上げ激減 20年めどに解散へ

2016年7月20日18時09分

 1951年の創業の学術書専門の出版社「創文社」(東京都千代田区、社員6人)が2020年をめどに会社を解散する予定であることがわかった。同社は「売り上げの落ち込みが激しく回復が見込めない」としている。

 「ハイデッガー全集」や「神学大全」(トマス・アクィナス著)など、哲学や宗教、歴史、政治、社会系の書籍のほか、「哲学研究」などの雑誌も発行してきた。同社によると、最近は年10%の割合で売り上げが落ち続け、昨年は10年前の約3分の1だったという。新刊書の発行は来年3月まで続けるという。
http://www.asahi.com/articles/ASJ7N5PXJJ7NUCVL01Y.html

初めて買った創文社*1の本はウェーバーの『支配の諸類型』*2だった筈。
支配の諸類型 (経済と社会)

支配の諸類型 (経済と社会)

See also
土門稔「キリスト教や人文社会科学など学術出版の老舗 創文社が2020年をめどに解散」http://www.christiantoday.co.jp/articles/21499/20160719/sobunsha.htm
創文社の解散の報に接して」http://d.hatena.ne.jp/ya022978/20160718/1468773185


「本社ビル」も売り払うのか。
経営状況の厳しさだけど、これは「出版不況」といった一般的な項に還元することはできないだろう。そもそも専門書の場合、個人読書家よりも機関購入というか、研究機関や図書館の購入に依存するところが大きかった筈。文庫や新書とは違うというか、個人がお気楽に買える値段ではない。単価を高めにして、機関購入を確保しつつ、細く長く出版を続けるというビジネス・モデルがあった筈なのだが、それが最近では肝心の機関の財政がタイトになったということで、不具合が生ずるようになってきたということなのだろうか。まあ、所謂TSUTAYA図書館*3の中で『ハイデッガー全集』の居場所を確保するのは難しそうな気がする。
ところで、創文社の膨大なカタログ(版権)はどうなるのだろうか。角川あたりでまとめて買収してしまうということはないか。