精子の起源を巡る訴訟

Ashifa Kassam “Sperm bank sued as case of mentally ill donor's history unfolds” http://www.theguardian.com/world/2016/apr/14/sperm-donor-canada-families-file-lawsuit
Theresa Boyle “Three Ontario families sue sperm bank and Canadian distributor” http://www.thestar.com/life/health_wellness/2016/04/13/three-ontario-families-sue-sperm-bank-and-canadian-distributor.html


米国ジョージア州精子バンク企業Xytex Corp*1と、そのカナダ代理店であるOutreach Health社*2が、提供する精子を利用して子どもを得た家族から損害賠償を求める訴訟を起こされている。訴訟者側によると、それは精子ドナーの虚偽プロフィールのため。問題の提供者は2000年から2014年までの間Xytexに精子を提供し*3、36人のレシピアントが彼の精液を使い、子どもを得ていた。プロフィールによると、IQ160、国際的にも有名なミュージシャンで、「神経科学」の博士論文を準備中ということだった。しかし、2014年に彼の電子メイルが「偶然にも」レシピアントに送られてしまうというありえないことが起こった。不審に思ったレシピアントたちがネット検索をかけてみると、彼がかつて「統合失調症、自己陶酔的人格障害(narcissistic personality disorder)及び誇大妄想」と診断されていたこと、2005年に「住居侵入」罪で8か月間投獄されていたこと、博士論文を準備中どころか2013年に入学してから20年目にしてやっと四年制大学を卒業していたことなどが、出てきてしまった。但し、どの記事にも、彼の精子から生まれた子どもに健康上その他の問題があることは言及されていない。
ジョージア州では、2014年にもレシピアントがXytexを訴えているが*4ジョージア州の裁判所は第三者提供の精子による出産自体が州法では認められていない「不法な出産(wrongful birth)」であるとして門前払いしている。
要するに、精子界の〈ショーン・マクアードル川上*5という感じなのだろうか。


See also http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061015/1160931891 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20061020/1161346231 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20080812/1218560439 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20150521/1432187282