Paretian optimum

Via http://taraxacum.seesaa.net/article/467080724.html

山口一男*1「選択的別姓問題と個人の自由の価値」https://www.rieti.go.jp/jp/special/special_report/103.html


曰く、


筆者が選択的[夫婦]別姓を支持するのは、これがパレート改善的制度だからであり、自由主義的社会制度設計の基本概念にかかわるものだからである。日本において選択的別姓のパレート改善性に言及したものがあるかどうか検索したら、2017年の青山学院大学の『青山国際政策論集』で瀬尾佳美・飯坂ひとみ共著の論文があることが分かったが、それ以外には見当たらない。パレート最適とかパレート改善という用語は経済学者の一部を除いて日本で多く用いられることはないからであろうか。しかし米国では自由主義的哲学(あるいは功利主義哲学)の基礎概念である。例えば米国で政治哲学に大きな影響力をもったジョン・ロールズの『正義論(1971)』もパレート最適性を一つの判断基準としている。

パレート改善的制度とは、その制度により誰も損をするものはなく、少なくとも一人以上の人が得をする制度を言う。選択的別姓制度の下で、夫婦同姓を選好するものは同姓にできるので損はなく、別姓を選好するものは別姓にできるので得をする。さらに前提として他の夫婦が別姓を選ぶか同姓を選ぶかは負の外部性を生まない選択であるとの仮定がある。負の外部性がないという意味は、他の夫婦は個々の夫婦が同姓を選ぼうが別姓を選ぼうが、損害を受けないということである。選択的別姓はこれらの条件が皆満たされるので、パレート改善的制度と見なされるのである。

そもそも「右は自由至上主義者(リバタリアン)から左の社会民主主義者も等しく反対することがない」、「自由を尊ぶ国では誰もが賛成できる制度」である筈。
パレート最適」については、例えば、


「パレート効率性」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88%E5%8A%B9%E7%8E%87%E6%80%A7
“Pareto efficiency” https://en.wikipedia.org/wiki/Pareto_efficiency
松尾匡*2パレート最適http://kisoken.org/webjiten/paretosaiteki.html
梶井厚志「FAQのコーナー」http://www.1234.kier.kyoto-u.ac.jp/FAQ.htm
Kirti Shaile “Conditions of Paretian Social Optimum” http://www.economicsdiscussion.net/welfare-economics/conditions-of-paretian-social-optimum/21052