Still a doctor

承前*1

所謂小保方晴子騒動はSTAP細胞問題と博士論文問題からなっているといえる。
早稲田大学小保方晴子の博士号を取り消さないという結論を出した。しかし、「調査委員会」の知見と結論のギャップをストレートに納得することは難しいのではないか。
『毎日』の記事;

小保方氏論文:博士号取り消さず…早大調査委

毎日新聞 2014年07月17日 17時06分(最終更新 07月17日 23時41分)


 撤回されたSTAP細胞論文の筆頭著者、小保方晴子理化学研究所研究ユニットリーダーの博士論文について、早稲田大の調査委員会(委員長=小林英明弁護士)は17日、論文の6カ所に不正があったと認定する一方、それらが博士号を与えた判断に重大な影響を与えていないとして、「博士号取り消しに該当しない」とする調査結果を発表した。
 ◇不正6カ所認定、「審査不備」大学を批判…調査委

 一方、論文の指導、審査体制について、「内容の信ぴょう性、妥当性は著しく低く、審査体制に不備がなければ博士号が授与されることは到底考えられない」と大学側を厳しく批判。指導や審査にあたった常田聡・早大教授らに「重大な責任がある」と指摘した。

 小保方氏は2011年3月に博士号を取得した。博士論文を巡っては、米国立衛生研究所のホームページに掲載された文書とほぼ同一の記述が20ページ超にわたって確認されるなど多くの問題が指摘され、早大は今年3月に調査委を設置した。

 東京都内で記者会見した小林委員長によると、論文には11カ所の著作権侵害(盗用)など計26カ所に問題点があった。小保方氏は、この論文について「草稿段階のものを誤って製本、提出した」と主張。調査委は主張に基づき一部は過失と認めたものの、6カ所の文章や図は故意による不正と判断した。小保方氏が今年5月に調査委に提出した「完成版」にも盗用が残っていたという。

 早大の規則では、博士号の取り消しは「不正の方法で学位(博士号)を受けた場合」と規定。調査委は、取り消しには不正が授与に重大な影響を与えたことが必要だと解釈し、今回は実験部分など論文の中核には不正はなかったとして「取り消しには当たらない」と結論づけた。

 一方、小林委員長は「要件に該当しないだけであり、無断転用など問題の重大性は変わらない」と強調するとともに、小保方氏について「データ管理のずさんさ、注意力不足、博士論文への真剣味の欠如があった」と指摘した。小保方氏は調査委の聞き取りで、不正について、「許されるものと思った」と話したという。【大場あい、須田桃子】
 

◇「安心材料だ」小保方氏代理人
http://mainichi.jp/select/news/20140718k0000m040001000c.html

小保方氏の代理人を務める三木秀夫弁護士は17日、大阪市内で報道各社の取材に応じ、調査委員会の結果について「本人にとっても安心材料の一つになるだろう。大学は調査委の報告書を尊重して対応してほしい」と話した。小保方氏には結果をメールで伝えたという。【畠山哲郎】
 ◇解説…疑問残る事実認定

 理系の博士論文では、外部の査読付き科学誌に掲載された論文を書き換えるだけの場合もあり、審査の「形骸化」は以前から指摘されていた。小保方氏の論文審査で主査を務めた常田早大教授は、疑惑発覚前に「非常に優れた博士論文だった」と絶賛していた。一方、副査の米ハーバード大のチャールズ・バカンティ教授は、疑惑発覚後の英科学誌の取材に「(論文を)読んだことがない」と述べるなど、審査の甘さは明らかだ。

 調査委が認定した事実にも疑問が残る。調査委は対象となった小保方氏の論文を「草稿」だったと認めた。だが小林委員長によると、小保方氏が「完成版」と主張する論文を調査委に郵送したのは今年5月27日。調査委は問題表面化後に作られたものかどうかを検証するため、電子データによる提出を求めていたが、小保方氏側からデータが提出されたのは6月24日。ファイルの最終更新履歴は当日だった。小林委員長も「それ以上の検証はできなかった」と調査の限界を認めた。

 さらに調査委は、小保方氏が「完成版」と主張する論文でも複数の不正を認めた。全5章のうち序章の約4500語が米サイトからの丸写しだったが、調査委は「博士号授与へ重要な影響を与えたとはいえない」と判断した。この規模の「盗用」を認めながら博士号を保持できるのであれば、国内外の早大への信用と権威は地に落ちるだろう。

 小保方氏の博士論文に疑義が生じて以降、ネット上で同じ早大先進理工学研究科で学位を得た博士論文について盗用などの疑義が相次いで指摘されている。鎌田薫・早大総長は記者会見で否定したが、こうした事情が結論に影響したと疑われることは避けられない。【八田浩輔】
http://mainichi.jp/select/news/20140718k0000m040001000c2.html

ところで、早稲田大学は2013年に晏英という中国人留学生の博士号を「盗作」の廉で取り消しているのだった*2。現在中国にいるのか日本にいるのか知らないが、晏英氏も今回の小保方氏への処置には何か一言あるんじゃないか。