安易で過度の一般化

http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20140706/1404668892に対して、peguiという理系研究者の方*1から、Nature本体の査読はdouble-blindではないという御指摘をいただく*2。私の記述は、自分の経験と福岡伸一氏の著書(『生物と無生物のあいだ』)に基づいたものなので、安易で過度の一般化という誤りを犯してしまったということになる。どうもお騒がせしました。

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

さて、古寺多見氏は、naturalist2008という生物学者の方の「Double-Blind Review:論文執筆者を匿名にすると・・・」というエントリーを参照している*3。その中で、Behavioral Ecologyという雑誌が査読をsingle-blindからdouble-blindに移行させたところ、女性を筆頭著者とする論文の掲載が増えたという話が引かれている。それを読んで、Lockwood/Greenberg問題を思い出したのだった。カナダの100軒以上のホテルに、「ロックウッド」といういかにもアングロ・サクソンな姓と「グリーンバーグ」といういかにもユダヤ的な姓を使って、宿泊申し込みの手紙を出したところ、「ロックウッド」では宿泊OKの返事が93%、「グリーンバーグ」では36%だった。しかも、「グリーンバーグ」では返事をもらえたのは52%に止まった。つまり、半数近くのホテルは「グリーンバーグ」氏の手紙を無視していたことになる(中川喜代子『差別と偏見のメカニズム』、pp.30-31)*4
偏見と差別のメカニズム (人権学習ブックレット)

偏見と差別のメカニズム (人権学習ブックレット)

これは「トロント大学のS.L.ワックス教授」による実験なのだが、この原典をつきとめることは今回できなかった。ただ、幾つか人種的ステレオタイプ関連のテクストを見つけたので、マークしておく;


Gwen Sharp “Racial Stereotyping and Receptions of Competence” http://thesocietypages.org/socimages/2012/01/27/racial-stereotyping-and-perceptions-of-competence/
OpenStax College “Stereotypes, Prejudice, and Discrimination” http://cnx.org/content/m42860/latest/?collection=col11407/latest
Scott Plous*5 “The Psychology of Prejudice: An Overview” http://www.understandingprejudice.org/apa/english/