108年かかって

Maev Kennedy*1という記者が何故か気になった。専門は文学なのか美術なのか何でもありなのか。


Maev Kennedy “Message in a bottle, promising finder a shilling, bobs up after 108 years” http://www.theguardian.com/world/2016/apr/19/message-bottle-washed-ashore-108-years-worlds-oldest


1906年11月30日、英国プリマスの海洋生物学者George Parker Bidderは、海流を調査するために1000本の瓶を北海に流した。それから108年4か月18日後の2015年、独逸のAmrum島*2の海岸で引退した元郵便労働者Marianne Winklerは瓶を見つけた。中には英国プリマスの「海洋生物学協会」*3宛ての葉書が入っていた。彼女は拾った日時と場所を記載すると、葉書を投函した。これは108年前にGeorge Parker Bidderが北海に流した瓶だった。これは現在のところ、発見されるまでに最も時間がかかった「瓶の中のメッセージ」である。それ以前の記録だと、2013年にシェトランド島で発見された99年43日前の瓶の中のメッセージ。瓶を流したGeorge Parker Bidderは1954年に91歳で亡くなっている。
これを読んで、しばらくの間、感慨に浸ってしまった。話し言葉が(もう私は吸わないけれど)煙草の煙と運命を共にするのに対して、エクリチュールは書き手である〈私〉が死んで・〈私〉を記憶する者が誰もいなくなったとしても、生き残りうるのだった。blogのエントリーを書くのは、或る意味で、瓶に手紙を詰めて海に投げることに似ているのかも知れない。今から108年後に、このエントリーにコメントがついたら、どうすればいいのか。


Maev Kennedy “Salvador Dalí diary up for sale in auction of surreal artefacts” http://www.theguardian.com/artanddesign/2016/apr/19/salvador-dali-diary-auction-surrealist-dada-artists-artefacts


どういう経路で、誰が今まで所有していたのかは審らかではないのだが、サルバドール・ダリの未公開の日記、ダリに宛てられた手紙などのダリの私物(遺品)が来週巴里でオークションにかけられるという。記事から察すると、1930年代、サルバドール・ダリポール・エリュアール*4とガラ・エリュアールが三角関係でごちゃごちゃして、やがてポールとガラが離婚してサルバドールとガラが結婚するという時期のものであるらしい。ピカソアンドレ・ブルトンルネ・マグリットジョアン・ミロマックス・エルンスト、ローランド・ペンローズ*5などによる手紙や写真や詩。