「ネトウヨの気持ち」(by 東海亮樹)

東海亮樹「「読まずに死ねるか!」とはゆかずの記」『いける本・いけない本』*119、2013、pp.22-23


東海氏は共同通信の記者。今年6月に「解離性脳動脈瘤」で倒れ、3か月間の休職を余儀なくされた(p.22)。少し抜き書き;


外出禁止で書店に行けず、電子書籍を探してみたが、ビジネス、自己啓発ばかりでつまらない。それに歴史の本は、嫌韓や反中ばかりの「ネトウヨ」天国で悲しくなった。ネトウヨといえば、取材で人に会えず、友人と馬鹿話もできないので、ツィッターにのめり込んでしまった。こちらもネトウヨばかりで反論を投稿しまくってやろうかと思ったが、それでは「ネトサヨ」だと思いとどまった。孤独でネットにはまり込むと、家族や共同体などの媒介を省いて国家に気持ちが直結する。ネトウヨの気持ちがよく理解できて、笑った。それでも今の排外主義はなぜなのだと、ナチズムに人々が熱狂した心理を探ったエーリッヒ・フロム『自由からの逃走』*2東京創元社)を読み直した。大衆の心理はよく分かった。知識人がなぜナチスに屈したのかについて、「内的疲労とあきらめ」と書いてあるのにはっとした。(後略)(p.23)
自由からの逃走 新版

自由からの逃走 新版

ところで、「第四回いける本大賞」は、


白井聡『永続敗戦論―戦後日本の核心―』太田出版
堀川惠子『永山則夫―封印された鑑定記録―』岩波書店
前野ウルド浩太郎『孤独なバッタが群れるとき―サバクトビバッタの相変異と大発生―』東海大学出版会


であるあそうな(p.28)。