「安酒」と「ガラスの器」

「「対立を越えよう」中国人作家が語る日中関係http://www.nhk.or.jp/worldwave/marugoto/2013/12/1219.html


今月来日していた中国の作家、閻連科氏*1について。そのなかから、


「今の文化交流の最大の問題は、政治の影響を受けすぎていることです。
政治のやり方は、安酒を飲んだ酔っぱらいのようなものです。
そのそばにあるガラスの器が、文化や文学です。
酔っ払いがぶつけて壊せば、一銭の価値もなくなるのです。
しかし、ガラスの器を壊した酔っぱらいは、必ず、けがをします。
私たち文学者の責務は、壊されることを恐れずに、このガラスの器を作り続けることです。
文学、文化は拳には対抗できないけれど、拳を緩めさせる力があります。
だから、私は、文学と文化を通した交流を訴え続けていきます。」
という言葉を引用しておく。「安酒」云々というのは、村上春樹

(前略)領土問題が実務課題であることを超えて、「国民感情」の領域に踏み込んでくると、それは往々にして出口のない、危険な状況を出現させることになる。それは安酒の酔いに似ている。安酒はほんの数杯で人を酔っ払わせ、頭に血を上らせる。人々の声は大きくなり、その行動は粗暴になる。論理は単純化され、自己反復的になる。しかし賑やかに騒いだあと、夜が明けてみれば、あとに残るのはいやな頭痛だけだ。(「魂の行き来する道筋」『朝日新聞』2012年9月28日*2
という一節を踏まえているだろう。
さて、金正恩は泥酔しながら張成沢側近の死刑を命令したという*3。酒も飲まずに泥酔する安倍晋三金日成の孫よりも一枚上手ということになるのか*4