23のうち10

『東京23区の農業』(都市農地懇談会事務局、世田谷区都市農業課、2010)というパンフレットによると、2005年時点での東京23区内の農家戸数は1916、2008年時点での農地面積は689ヘクタール。23区のうち農地がある区は、江戸川区葛飾区、足立区、板橋区練馬区、中野区、杉並区、世田谷区、目黒区、大田区の10区。皇居(千代田区)内の田圃は入っていないのか。
「東京の農業と伝統野菜」という文章で、大竹道茂氏、「江戸東京野菜」について曰く、


幕府はお城の中や近くに〈御前菜畑〉を作って将軍家の野菜をまかない、一方、参勤交代で江戸に来ていた大名たちは、自分たちが食べる新鮮な野菜を確保するため、また故郷の味を求めて、国元から種と農民を呼び寄せて下屋敷で栽培させました。
こうして全国各地から集まった野菜の種は、やがて下屋敷周辺でも栽培されるようになり、江戸の気候風土に合う野菜に、江戸ゆかりの産地名がついてブランドとなりました。これが「江戸東京野菜」と呼ばれる伝統野菜のゆえんです。
享保年間には江戸は世界有数の百万都市となり、近郊の農業は、鮮度を重視する野菜の産地として栄えます。特に粋な江戸っ子の〈初物〉好きは相当で、そのニーズにこたえるための促成栽培の技術も発達しました。競うように初物は高騰し、幕府は初物づくりの禁止令を度々出しますが、実際にはあまり効果はなかったようです。
また品種改良の技術も発達し、改良が重ねられた高品質な野菜の種は、江戸土産として大人気でした。(後略)(p.4)